2009年度工学院大学 第1部情報通信工学科
○化学I(Chemistry I)[3509]
2単位 河野 博之 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 理工系大学生として必要な化学の基礎知識を身につけることをねらいとする。高校化学程度の基本的な事項からはじめるが、最終的にはより理論的で厳密な内容も取り扱う。講義を通して環境問題に対する化学の役割、人間生活や社会生活における化学の成果などを知り、化学の視点から自らの専門分野を見直すことが目標である。
以下に具体的な達成目標を示す。 1)原子の構造を理解し、そこから化学結合の本質を説明できるようになる。 2)化学反応に関する簡単な化学計算ができるようになる。 3)ミクロな分子とマクロな物質を結ぶ動的平衡の概念を理解する。 4)酸と塩基の定義とそれらの反応について理解する。 5)酸化還元反応の本質とその電気化学との関連について理解する。
- <授業計画及び準備学習>
- 第1週:授業計画の説明、物質の分類、化学変化とその量関係
第2週:原子の構造と原子量、モル 第3週:原子モデルと電子軌道 第4週:電子配置と元素の周期性 第5週:化学結合と電子、イオン結合と金属結合 第6週:共有結合と分子 第7週:物質の三態、気体分子の状態方程式、結晶構造 第8週:相平衡、溶液の束一的性質 第9週:化学平衡、質量作用の法則 第10週:反応速度、反応に伴う熱収支 第11週:酸と塩基、中和反応、酸・塩基の強弱 第12週:中和反応、加水分解と緩衝液 第13週:酸化と還元、酸化数 第14週:酸化還元電位、電池と電気分解 第15週:定期試験 毎回、課題を与えるとともに、演習問題を解く。
- <成績評価方法及び水準>
- 原則として定期試験(100点)で評価する。授業中に課した演習問題の成績良好者には、定期試験の得点に演習問題の成績に応じて最大20点まで加点した上で、それらの合計が100点を越えないように規格化した評価点で評価する。評価点が59点以下のものに対して、さらにレポートの提出を課す場合もあるが、レポート内容が単位認定相当と認められる場合の評価点は60点となる。
- <教科書>
- 講義の際に配布する資料と演習問題集を用いて授業する。教科書は指定しない。
- <参考書>
- 「マンガ 化学が驚異的によくわかる」ラリー・ゴニック,クレイグ・クリドル著 小林茂樹訳 白揚社
本書は挿絵を多用した化学の啓蒙書であるが、高校の復習から大学初年度レベルの化学の内容をきちんと説明してある。講義だけではイメージがつかみにくい概念を視覚的に理解するのに役立つ。
「基礎化学」化学教科書研究会編 化学同人 「第4版 化学−物質・エネルギー・環境」浅野努・荒川剛・菊川清著 学術図書出版社 以上の二編は、化学系大学生が1年生のうちにマスターすべき内容がコンパクトにまとめられている。高校で化学IIまでマスターした学生の参考書としてはこちらを薦める。
「化学 基本の考え方を中心に」A. Sherman, S. Sherman and L. Russikoff著 石倉洋子・石倉久之訳 東京化学同人 「実感する化学(上下)」A Project of the American Chemical Society 廣瀬千秋訳 エヌ・ティー・エス 以上の二編は、アメリカの教養課程向け化学教科書の和訳である。国際的には、これらの本にある化学知識が「社会人」の常識であると考えてよい。大量の易しい演習問題に答えながら基礎知識を固めていくスタイルなので、高校化学に自信のない学生に一読を薦める。 その他の参考書は講義の際に紹介する。
- <オフィスアワー>
- 特に指定しない。授業の前後に講師室に在室しているとき、および研究室在室中(八王子4号館4-105号室)は、質問や相談を歓迎する。但し、常に研究室に在室しているとは限らないのでE-mailを利用するか、来室を事前に連絡すること(ft13023@ns.kogakuin.ac.jp)。
- <学生へのメッセージ>
- 大学で学ぶ化学は暗記ものではありません。基本的な事柄をしっかり理解し、あらゆる場面で応用が利くようにすることが大事です。進度が速いので最初は戸惑うかもしれませんが、授業でわからないところは、質問したり参考書を読んだりすることですぐに解決してください。「高校で化学を習っていないから授業がワカラナイ」という諸君は、学習支援センターの基礎講座と個別指導をおおいに利用してください。「わからないこと、知らないことは悪いことではない。わからないことをそのままにしておくから恥なのだ。」
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