2009年度工学院大学 第1部情報通信工学科

近代の文学(Modern Japanese Literature)[1413]

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2単位
永野 宏志 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
この講義は「感性工学 地図製作編」であり、テーマは<管理社会でのオルタナティヴ>である。
20世紀以降交通インフラ整備と物流システムの拡大や、急速な電子メディア技術(電信・電話、映画、ラジオ、テレビ、IT)の革新が続いている。地球は光に包まれ、監視と管理の網に包まれた世界になったが、光の網にかからないものが国の間、都市の間、隣近所や仲間同士、今を生きるこの体にあって、その格差に悲鳴を上げている。この講義では、現代に通じる管理社会を描いた小説を取り上げ、領域横断的に歴史地図を作りながら別の道の可能性(オルタナティヴ)を探る。ただし、起点はこの世界に生きる学生・教員の身の丈であり、文字や映像はあくまでキッカケである。

<授業計画及び準備学習>
第01回 〔映画 I〕夢野久作『ドグラ・マグラ』と鈴木光司『リング』
第02回 〔映画II〕夢野久作『ドグラ・マグラ』とS・キューブリック『2001年宇宙の旅』
第03回 〔ラジオI〕江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』と探偵小説の構造
第04回 〔ラジオII〕江戸川乱歩『人間椅子』と『怪人二十面相』
第05回 〔テレビI〕安部公房『砂の女』とL・キャロル『不思議の国のアリス』
第06回 〔テレビII〕安部公房『砂の女』+W・バロウズ『裸のランチ』
第07回 管理社会下の小説(1)・・・F・カフカ:反ユートピア小説と無名の主人公
第08回 〔環世界I〕夏目漱石『吾輩は猫である』とJ・スウィフト『ガリヴァー旅行記』
第09回 〔環世界II〕夏目漱石『吾輩は猫である』とC・チャップリン『モダン・タイムス』
第10回 〔情動I〕宮沢賢治『注文の多い料理店』とマンガ・カルチャー
第11回 〔情動II〕宮沢賢治『銀河鉄道の夜』とJ・R・R・トールキン『ロード・オブ・ザ・リング』
第12回 〔IT I〕荒俣宏『帝都物語』と大友克洋『AKIRA』
第13回 〔IT II〕押井守『攻殻起動隊』と『イノセンス』
第14回 管理社会下の小説(2)・・・まとめ:J・スウィフトの末裔たち
第15回 教場試験

<成績評価方法及び水準>
毎回講義中に10分ほどテーマに即した簡単なレポートを課して平常点とし(50%)、毎回優秀者を3名選出していく(選出された者は5点加点)。さらに、最後の時間に教場にて創作的な試験を実施し(50%)、併せて総合的に評価する。

<教科書>
テーマが多岐にわたるので毎回プリントを配布する。

<参考書>
M・マクルーハン『メディア論』(みすず書房)、M・バフチン『フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネッサンスの民衆文化』(水声社)、ミシェル・フーコー講義集成(8)『生政治の誕生』(筑摩書房)、J・v・ユクスキュル『生物から見た世界』(岩波文庫)、A・ネグリ+M・ハート『<帝国>』(以文社)

<オフィスアワー>
講義後10分程度。

<学生へのメッセージ>
講義は映像教材を多用し、粗筋は紹介するので、あらかじめ読んでおく必要はない。この講義をキッカケにしてほしい。

<備考>
私語・居眠りをした者は単位を認めないので、お昼休みによくしゃべり、よく寝てしっかり目覚めて受講していただきたい。

 

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