2009年度工学院大学 第1部 *電子工学科

超音波応用(Ultrasonics)[2C78]

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1単位
片倉 景義 非常勤講師

最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
超音波技術は、医用診断・治療、海中探査、機械加工、あるいは洗浄・殺菌など、多方面に利用されている。本講義では、このような超音波技術の基礎から応用までを具体的かつ平易に紹介し、全体像を把握してもらうことを目標とする。
達成目標の具体的な内容:
(1)各種超音波応用分野の全体像を概観する。(2)実例として特定分野の状況を詳細に理解する。(3)超音波工学における基礎物理を理解する。(4)指向性の合成およびその解析法を習得する。(5)超音波装置を題材とし、基礎技術である情報理論におけるの重要事項を体得する。(6)強力超音波の特長を把握してもらう。(7)超音波振動子の設計手法を理解する。

<授業計画及び準備学習>
第1週 講義の最初として、超音波技術に関する用語の定義、応用展開の歴史、および各種応用分野の概要を紹介し,超音波技術の全体概要を把握してもらう。
第2週 最大の応用分野である医用応用を題材とし、超音波の利点、画像診断あるいは血流計測の実例につき紹介する。超音波によるガン治療など、患者に優しい超音波による治療法についても紹介する。
第3週 超音波工学の基礎理論として、まず、波動方程式を導出し、波動方程式の重要性を体得してもらう。次いで、音源とそれにより発生する音波の強さの関係を定式化し、音波を発生させる機構を明確にする。また、音響系を電気回路により等価回路表示する手法につき述べる。これらの過程を通じ、超音波技術の背景に存在する、物理現象の本質を理解し把握してもらう。
第4週 超音波は、レーザー光線のように、鋭いビームに成形することができる。そこで、指向性合成の理論、ビーム方向の電子的走査法、ビーム形成のための装置技術など、超音波ビームの利用上必要となる技術を紹介する。
第5週 超音波応用においては、速度計測における速度精度向上、あるいは超音波撮像における解像度向上などのため、種々の信号処理を行っている。これら、超音波分野に適用されている信号処理を例題とし、情報伝送容量と信号帯域幅の関係、あるいは最適濾波など、情報理論の基本事項を体得してもらう。
第6週 超音波のエネルギー的応用において、最も重要な現象であるキャビテーション現象、あるいは有効性に注目が集まっているマイクロバブルなどにつき紹介し、超音波エネルギーの有用性につき理解してもらう。
第7週 超音波を送受信する送受波器は、超音波技術における最も重要な構成要素である。このような、超音波送受波器の設計における基本技術は、送受波器の等価回路表示である。そこで、最も広く利用されているMASONの等価回路を導出し、次いで実際の送受波器設計例につき詳述する。

<成績評価方法及び水準>
毎時間、講義終了前に、当日の内容に沿う演習問題により授業の理解度テスト(5点、4点、3点、2点、1点の5段階評価)を行う。成績は理解度テストの結果により評価し、平均3点以上を合格とする。評価においては、発想の新規性・独創性を重視する。期末テストは行わない。

<教科書>
講義はAV機器を使用して行う。投射予定画面をすべてプリントし、講義開始時に配布する。教科書は不要。

<オフィスアワー>
授業開始前・終了後、非常勤講師室で。

<参考ホームページアドレス>
講師の電子出版著書:http://www.digbook.jp/product_info.php/products_id/10320

 

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