2009年度工学院大学 第1部環境エネルギー化学科
△日本の社会思想(Social Ideas in Japan)[1412]
2単位 荒川 敏彦 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- わたしたちは、いやおうなく、この「社会」の中で生きていかねばなりません。同時に、いやおうなく、この「環境」の中で生きていかねばなりません。では、わたしたちが運命的に関わらねばならない「社会」と「環境」は、どのように関係しているのでしょうか。社会思想においても、この問題をなおざりにすることはできません。
この授業では、環境問題・公害問題と日本社会との関係を、江戸時代から現代までの事例を振り返りながら考えていきます。複数の事例を検討していくと、日本社会がなぜ「公害大国」と言われるのか、歴史的に変わらない(=反省しない)日本社会の姿を、そしてその日本社会を支える人びとの姿を、認識することになるでしょう。 社会思想は、「暴走する社会」に飲み込まれないために、つまり自分の人生のために必要なのです。最終的には、社会に安穏と依存する生き方ではなく、自らが社会をつくっているのだという意識をもってもらうことが目標です。
- <授業計画及び準備学習>
- 環境問題の社会構造的な問題を、歴史的に振り返っていく。それを通して、現在まで延々とつづく日本社会の病巣をつぶさに、具体的に検討していきたい。とくに、足尾鉱毒問題と水俣病問題については、時間をかける予定である。
(1)江戸初期の公害・環境問題 (2)江戸後期の公害・環境問題 (3)明治から大正期の公害・環境問題 (4)軍事立国と公害・環境問題 (5)足尾鉱毒問題[1] (6)足尾鉱毒問題[2] (7)水俣病問題[1] (8)水俣病問題[2] (9)水俣病問題[3] (10)4大公害裁判 (11)現在の環境問題[1] (12)現代の環境問題[2] (13)現代の環境問題[3] (14)まとめ (15)試験
- <成績評価方法及び水準>
- (1)授業にきちんと出席した者に対し、学期末に筆記試験を行う。(70%)
(2)適宜、授業中に小レポートを書いてもらう。(30%) (1)と(2)を総合して、60点以上の者に単位を認める。 公害問題の歴史を通して、日本社会のあり方にひとつの見通しをもち、自己の考えを提示できるかどうかが基準となる。
- <教科書>
- 適宜、プリントを配布する。
- <参考書>
- 足尾鉱毒問題については、田中正造『田中正造文集』(岩波文庫)、また水俣病問題については、石牟礼道子『苦海浄土』(ちくま文庫)および栗原彬『証言 水俣病』(岩波新書)などが基礎文献。
- <オフィスアワー>
- 授業終了後に教室で。
- <学生へのメッセージ>
- 映像をたくさん見ます。悲惨な現場の映像とおして、問題の深刻さに驚くと思います。しかし、紛れもない現実です。環境問題は、社会をどう運営するかの問題でもあります。自らが生きる社会について、どのような思想を打ち立てることができるのかを考えていきましょう。
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