2009年度工学院大学 第1部応用化学科
△世界の社会思想(Social Ideas in the Western World)[1411]
2単位 荒川 敏彦 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 今年度は、とくに「近世」のグローバルな社会的関連に注目しながら、東アジアとヨーロッパ、具体的には「キリスト教」と「儒教」「道教」「仏教」の社会思想について検討します。
21世紀は、宗教問題を見過ごせない世紀となりました。宗教は、単に個人の救済を問題にするだけでなく、世界全体を説明する理念でもあります。何十億という人間が、没入するにせよ反発するにせよ、宗教理念との関わりで世の中を生きています。わたしたちも、自分が信仰をもつかどうかに関わらず、この世界で生きている以上、そうした世界的環境のなかにいるわけです。講義で取りあげる大宗教について基礎的な理解も進めながら、現実に人びとが依拠している「理念」がどう「社会」と関係しているのかに目を向けていこうと思います。 加えて、16、17世紀の近世社会について、この時代の「グローバル」な社会的関係を具体的に検討します。前半の内容と合わせ、宗教と経済の両面から、21世紀に入った現代世界のグローバル化を再考する予定です。「近代社会」を形成する諸条件について、思想・宗教の面と経済の面の二方向から検討したいと考えています。
- <授業計画及び準備学習>
- 中国とヨーロッパについて、社会思想と宗教のかかわりを儒教、道教、キリスト教の順に思想史を、とくに「近世(初期近代)」に焦点をあてながら比較史的に把握する。その上で、近世におけるグローバルな世界の関係を、今度は経済的な観点から考察し、翻って21世紀の現代までを見とおす視野を再考する。
第1回 比較社会思想の視座 第2回〜第6回 キリスト教と社会思想 第7回〜第11回 中国思想と社会思想 第11回〜第13回 近世のグローバル化と現代のグローバル化 第14回 まとめ 第15回 試験
- <成績評価方法及び水準>
- (1)授業にきちんと出席した者に対し、学期末に筆記試験を行う。(70%)
(2)適宜、授業中に小レポートを書いてもらう。(30%) (1)と(2)を総合して、60点以上の者に単位を認める。 各文化圏の社会思想の基本的な特徴を理解し、簡潔に説明できるとともに、独自の視点から(独善的ではない)考察を行えるかどうかが評価の基準となる。
- <教科書>
- 適宜、プリントを配布する。
- <参考書>
- 東アジアに対する「ヨーロッパからの視線」を知る手がかりとして、マックス・ヴェーバー『儒教と道教』(創文社)をあげておく。また中国近世史については、岸本美緒『東アジアの「近世」』(山川出版社)、および中国思想史については溝口雄三ほか『中国思想史』(東京大学出版会)をあげておく。
- <オフィスアワー>
- 授業終了後に教室で。
- <学生へのメッセージ>
- 自分では「主観的」な思考や感情だと思っていても、必ず社会の影響を受けています。自分がどんな影響を受けているのか、また(世界にいる)他者がどんな影響を受けているかを知ることは、とても大切なことです。大学生でいるうちに〈社会を認識する〉という問題に取り組んでおくことを勧めます。
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