2009年度工学院大学 第1部マテリアル科学科
化学工業総論(Chemical Process Industries)[2357]
2単位 杉田 和之 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 「化学工業」には沢山の分野があるので、「無機化学工業」と「有機化学工業」に区分された各論的な記述の集積が、「化学工業総論」として有効であるという考え方もあるかも知れない。しかし、そうした化学の学問区分にとらわれることなく、むしろ「工業化学」がどのように発展的変貌を遂げて来たのかを(1)社会的な、(2)技術的な、(3)環境・資源的な要因などに着目して探れば、自ずと「工業化学」発展の原動力が認識できるものと考える。
また、今日の先進国における「化学工業」は、『化学だけではなく、電子工学や物性物理などをも取り入れた広範囲の科学知識に基づいて分子設計を行い、その指針に従って物質を合成し、そして目的とする用途に必要な物性あるいは機能を化学的または物理的に計測・評価し、より合理的・経済的にさらに環境調和を考慮しながら 「より付加価値の高い材料」を生産する産業』に変革してきている。そのような『流れ』を学生諸君に認識してもらうことも、この授業のねらいである。
- <授業計画及び準備学習>
- 第1〜10週は、参考書の1.1〜3.8節から重要事項を選び出し、さらに講師の主観を交えて講義する。
第 1週 資源と環境と工業化学 第 2週 社会的要求と近代化学工業の誕生 第 3週 近代化学工業1:酸・アルカリ工業 第 4週 近代化学工業2:電気化学と高温化学と窒素工業 第 5週 近代化学工業3:染料・医薬・繊維の化学と技術 第 6週 大戦後の復興を経て高度成長(前半) 第 7週 高度成長(後半)と石油ショックによる方向転換 第 8週 輸送機械工業にみる素材開発 第 9週 電気電子工業にみる素材開発 第10週 持続可能な社会と生産技術 (材料のリサイクルを含む) 第11〜14週は、IT社会における情報記録と大量伝達の意義と その目的に使われる「高付加価値材料」について講義する。 第11週 情報記録複製システムと機能材料1:製版・印刷と画像材料 第12週 情報システムと機能材料2:複写・プリンタと記録材料 第13週 情報システムと機能材料3:電気・電子機器と回路パターン形成材料 第14週 情報記録に関するレポートの解説 第15週 [学習成果の確認]期末試験
- <成績評価方法及び水準>
- 期末試験70%、中間レポートI.食品包装15%、中間レポートII.情報記録15% の得点によって総合的に評価し、60点以上を合格とする。中間レポートを期限までに提出しなかった者 および2/3以上出席しなかった者に対しては、追試を考慮しない。
- <参考書>
- 「新工業化学概論」(改訂版)基礎化学選書21 大谷杉郎著 (裳華房)
「基礎高分子化学」 基本化学シリーズ3 成智聖司ら共著 (朝倉書店)
- <オフィスアワー>
- 火曜日 講義の前後 講師室
- <学生へのメッセージ>
- 期末試験は、記憶力(知識の蓄積)よりも、理解力・思考力・応用能力を総合的に試験するために、資料は持ち込み可とするが、どこでどんなことを学習したかのアウトラインは頭に入れておくこと。「第X週か第Y週かに講義で教わった」と記憶の隅に残っているのと、聞いたことも読んだこともないのとは、将来必要な時に必要な情報を入手する段階で大違いである。
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