2009年度工学院大学 第1部環境化学工学科

基礎反応速度(Fundamentals of Chemical Kinetics)[3163]

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2単位
五十嵐 哲 教授  
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最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
化学物質の変換速度の十分な理解が,エネルギー製造・化学合成・環境浄化のための反応操作プロセスの基本となる.すなわち,反応速度式を解析することによって反応機構が明らかになり,また反応速度の制御が可能となる.本講では,反応速度の定義,反応速度の測定法,測定結果の整理の仕方,さらに反応速度の理論的解釈について学ぶ.
以下に,具体的な達成目標を示す.
(1)反応速度式と速度定数の定義を理解すること,(2)反応速度式を用いて,所定の反応時間が経過したときの反応率および所定の反応率に到達するために必要な反応時間が計算できること,(3)反応速度の温度依存性を理解し,反応速度に及ぼす反応温度の効果が計算できること,(4)定常状態近似法を用いて反応速度式を誘導し,反応機構を理解すること,(5)衝突理論と活性錯合体理論の概要を理解すること.
内容の理解を深めるために,計算を中心とする演習を行なうので,電卓を持参すること.

<授業計画及び準備学習>
1.「高校の化学の復習」反応の速さとしくみ
2.「反応速度式,速度定数,反応次数」定義および初速度からの速度式の求め方
3.「一次反応の速度式」積分速度式の誘導と半減期
4.「二次反応の速度式」積分速度式の誘導と半減期
5.「反応速度と化学平衡」一次可逆反応の反応速度と化学平衡定数の関係
6.「反応速度の温度依存性」活性化エネルギーとアレニウス式
7. 中間試験
8.「速度式の解釈」素反応:単分子反応と2次反応
9.「逐次反応」逐次反応の生成物の濃度変化
10.「定常状態近似」定常状態近似法の理論と応用例
11.「酵素触媒反応」酵素と基質の反応機構(ミカエリス‐メンテン機構)
12.「衝突と反応」衝突理論による反応速度論の解釈
13.「活性錯合体理論」活性錯合体理論による反応速度論の解釈
14.総復習
15.学習効果の確認(試験)

<成績評価方法及び水準>
原則として中間試験と定期試験の点数をそれぞれ40 : 60の重みで最終成績を評価し、60点以上の者に単位を認める.

<教科書>
「アトキンス物理化学(下)第8版,25-27章」千原英昭,中村恒男訳(東京化学同人)

<参考書>
「反応速度論」斎藤勝裕著(三共出版):図表が多く,基本的かつ豊富な内容を平易に説明.
その他,図書館にある物理化学の多くの参考書.

<オフィスアワー>
授業終了後1時間.それ以外でもメールで約束の上,対応可.居室:12号館208室
E-mail: igarashi@cc.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
授業中に演習を行ない,またレポートによって理解度を把握する.式の意味を理解し,式の誘導ができること,また計算問題が解けることが大事.「物理化学演習」で行なう計算演習の理解が「基礎反応速度」の合格につながる.わからないことは早めに質問に来ること.

<参考ホームページアドレス>
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~wwb1019/

 

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