2009年度工学院大学 第1部環境化学工学科
物理化学演習(Exercises in Physical Chemistry)[2454]
1単位 飯田 肇 講師 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 本講は「物理化学I」および「基礎反応速度」の授業内容について、演習によって理解を深める目的で設置されています。したがって、演習内容は「物理化学I」および「基礎反応速度」の授業計画に示された内容に沿って実施します。概ね計算演習が中心となるので、各講義で指定された教科書と数値計算用に電卓を用意して下さい。「基礎反応速度」の演習ではグラフ用紙も使用します。隔週ごとに「物理化学I」と「基礎反応速度」の講義の進展に合わせて、それぞれの科目の演習を行っていきます。
物理化学Iでは、固体、液体、気体の物質の物理的変態を純物質および簡単な混合物について熱力学的に取り扱います。本講ではそれらの具体的な問題を解くことにより、物質の熱力学的取り扱いについて理解を深めることを目標とします。 基礎反応速度では、反応速度の定義、反応速度の測定法、測定結果の整理の仕方などを学びます。本講ではそれらの基礎的な事項に関する計算を中心とする演習を行い、理解を容易にすることを目標とします。
- <授業計画及び準備学習>
- 第1週 (物理化学I)[基礎物理化学I,IIの復習]: 熱、仕事、エントロピーの概念について復習する。熱力学第1法則、第2法則、および気体の仕事に関する演習問題を行う。
第2週 (基礎反応速度)[反応速度式,速度定数,反応次数]: 反応速度の基礎的な計算や速度定数の単位に関する問題や初速度法による速度定数と反応次数を求める問題を行う。
第3週 (物理化学I)[自発変化、最大仕事と自由エネルギー]: 自由エネルギーの概念について解説する。相変化に伴うエンタルピー変化、エントロピー変化、および自由エネルギー変化の計算方法について演習を行う。
第4週 (基礎反応速度)[1、2次反応の速度式と半減期]: 積分形速度式を用いて速度定数や半減期を求め、1次反応と2次反応の違いについて考える。
第5週 (物理化学I)[自由エネルギーの温度・圧力依存性、および純物質の相図]:第3週に引き続き、自由エネルギーについて説明を行う。特に温度・圧力変化に伴う自由エネルギー変化の計算方法について演習を行い、純物質の相図に対する理解を深めてもらう。
第6週 (基礎反応速度)[温度と反応速度]: アレニウスの式を用いて活性化エネルギーと頻度因子の算出を行う。
第7週 (物理化学I)[相の安定性と相転移、相境界、Clausius-Clapeyronの式]:1次相転移、2次相転移について解説する。またClausius-Clapeyronの式を用いた相境界の算出方法について演習を行う。
第8週 (基礎反応速度)[逐次反応]: 逐次1分子反応における中間体の濃度変化に関する問題を行う。
第9週(物理化学I)[混合物の熱力学的記述 (部分モル量、混合のギブスエネルギー)]:混合の物性を記述するための化学ポテンシャルの取り扱いについて学ぶ。部分モル量、混合のギブスエネルギーについて演習を行う。
第10週 (基礎反応速度)[定常状態近似法と律速段階近似法]: 定常状態近似法と律速段階近似法を用いて反応速度式を求める。
第11週 (物理化学I)[活量、相図] 溶液の活量について学び、ヘンリー・ラウールの法則に関する演習問題を行う。また、相律と状態図(蒸気圧、温度-組成図)についての演習も行う予定である。
第12週 (基礎反応速度)[ミカエリス−メンテン機構]: ラインウィーバー−バークプロットを用いてミカエリス定数を求める。
第13週 復習とまとめ
第14週 期末試験
- <成績評価方法及び水準>
- 成績評価は期末試験の結果で評価する。物理化学Iに関する試験問題と基礎反応速度に関する試験問題の平均点で評価する。成績はS(100〜90点)、A(89〜80点)、B(79〜70点)、C(69〜60点)、F(59〜0点)で評価し、S,A,B,Cを合格とする。
- <教科書>
- 物理化学I
「アトキンス 物理化学(上)第6版」 東京化学同人 P.W.Atkins著 千原秀昭、中村亘男訳
基礎反応速度 「アトキンス 物理化学 (下) 第6版」東京化学同人 P.W.Atkins著 千原秀昭、中村亘男訳
- <オフィスアワー>
- 火曜日 16:30〜19:00八王子キャンパス12号館105
e-mailで約束の上であれば、それ以外の時間も可。iida@cc.kogakuin.ac.jp
- <学生へのメッセージ>
- どの科目でも演習を行うことにより理解が深まります。物理化学I、基礎反応速度の授業と併せて本講の演習を行ってもらい、授業の理解に役立ててください。
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