2009年度工学院大学 第1部環境化学工学科

移動現象I(Transport Phenomena I)[2359]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
石川  徹 准教授  
[ 教員業績  JP  EN ]

最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
移動現象論は粘性流体の運動量移動(流動)、各種形態の熱移動(伝熱)、拡散等の物質移動(分離)について取り扱う基礎工学の一つであり、全く関係が無いように思えるこれら三つの現象を統一した考え方で取り扱う学問です。移動現象Iでは流動、伝熱の基礎的理論を理解し、流体を輸送するための所要動力を計算する手法や、熱交換器を設計する手法を勉強します。移動現象Iの講義を通して、今日の地球環境問題(地球温暖化、省資源、省エネルギーなど)の本質と解決法を考えてもらいたい。

<授業計画及び準備学習>
1.移動現象入門;移動の推進力と流束の考え方を学び、基礎法則として運動量・熱エネルギー・質量の保存則お よびそれらの移動の類似性について整理する。
2.流動(1) 流体の粘性と流動の基本的事項;粘性についてのNewton則について学び、流体(気体と液体) の重要な性質である粘度について理解する。
3.流動(2) 流動における物質収支、エネルギー収支;円管内定常流れにおける物質収支を考え、様々な流量 や流速の表わし方を理解する。定常状態流動におけるエネルギー保存則(エネルギー収支)の導出を理解する。
4.流動(3) 円管内の層流、乱流;無次元数であるレイノルズ数の仕組み、臨界レイノルズ数の意味を学び、 層流、乱流の違いを理解する。微小区間の運動量収支から層流の速度分布式を誘導する。
5.流動(4) 乱流速度分布の普遍的表示式;乱流の表示方法および円管内乱流の構造を理解し、代表的な速度 分布を表わす指数速度分布式と対数速度分布式を学ぶ。
6.流動(5) 円管内流れの摩擦損失;円管内流れの摩擦によるエネルギー損失を理解する。ファニングの式を 誘導し、層流、乱流の摩擦係数の算出法について学ぶ。
7.流動(6) 流体輸送の所要動力;摩擦損失係数の導入を理解し、機械的エネルギー保存の法則から流体輸送 の所要動力を求める式を誘導する。また様々な流体輸送機について説明する。
8.流動(7) 流量、流速の測定;液柱圧力計の仕組みを学び、ピトー管による流速測定、オリフィスによる流 量測定の原理について理解する。
9.伝熱(1) 平板状固体壁の伝導伝熱;一次元定常熱伝導におけるフーリエの法則を学び、物質による熱伝導度の違いを確認する。
10.伝熱(2) 円筒状個体壁の伝導伝熱;円筒状固体壁の伝導伝熱における対数平均面積の導入を理解する。
11.伝熱(3) 対流伝熱;固体壁表面と流体間の熱移動機構を学び、境膜および有効境膜の考え方、境膜伝熱 係数を用いた熱伝達式の応用を理解する。また熱貫流と総括伝熱係数について学ぶ。
12.伝熱(4) 境膜伝熱係数の推算;次元解析により無次元式を誘導し、対流伝熱に関係する無次元数の意味 を理解するとともに様々な場面における境膜伝熱係数を推算する方法を学ぶ。
13.伝熱(5) 熱交換器の設計;向流型、並流型の違いを理解し、熱収支、対数平均温度差、伝熱面積など熱 交換器の設計に必要な項目、設計手段を学ぶ。多管式熱交換器の構造を説明し、平均温度差に対する補正を理解 する。
14.伝熱(6) 放射伝熱、地球温暖化;固体からの放射伝熱の機構を学び、地球温暖化との関係を理解する。 放射伝熱に関するプランクの法則、ウイーンの法則、ステファン・ボルツマンの法則などを理解する。
15.「学習成果の確認(試験)」

<成績評価方法及び水準>
成績評価は定期試験の結果で評価し、評点(100点満点)が60点以上を合格とし、学生便覧に記載された基準で成績評価を行なう。なお、定期試験の受験資格は、講義出席率が75%(3/4)以上であること。

<教科書>
移動現象I 流動・伝熱 の講義テキスト(工学院大学生活協同組合で販売)

<オフィスアワー>
八王子校舎5号館B−102号室が居室になっています。講義等で質問・疑問があれば遠慮なく訪ねてきて下さい。質問はメールでも可能です。石川 徹 E-mail : bt70148@ns.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
毎回の講義に出来るだけ出席し、自分で勉強しても理解できない所は遠慮なくどんどん質問してください。毎回の講義の最後に学生の出席ならびに理解度(5段階)などの状況を把握するためにアンケートを実施します。理解度2以下の場合には具体的に記載してください。次回以降の講義に反映するなど、効果的な教育方法を模索し、改善を図ります。移動現象lと連動した移動現象演習もできるだけ受講してください。

 

このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2009 Kogakuin University. All Rights Reserved.