2009年度工学院大学 第1部機械システム工学科

工業材料(Engineering Materials)[4C16]

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2単位
丹羽 直毅 教授  
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最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
工業材料は、「人の営みの為に必要な様々な工業製品(家電製品、時計、カメラ、自動車、電車、船舶、ロケット、ロボット、等)を構成している材料」をさします。現代にあっては、規格に基づいて多くの規約の下に作られている材料の総称ですが、18世紀の産業革命以降に産れました。機械材料はその代表的な材料です。「設計」は仮想空間(CYBER SPACE)での作業、「材料」は現実空間(REAL SPACE)での作業、にその主体性がありますが、相方共に研究(R)する/開発(D)する、と云う意味合いでは、作ろうとするモノが機能し、故障しない、破損しない、破壊しない、という観点からは、想像する(考える)、具現化する(姿、形にする)という高度の概念を持ち合わせることが必要且つ不可欠となって来ます。
この様に「設計」と「材料」とは、図面(=形状、寸法、公差、の他に材料で構成)の様に相関関係(DUALITY:相補性)にあります。 ですから、この観点からすると工業材料を勉強することは、設計を異なった視点から勉強することにもなります。 授業では、機械材料としての、種類、性質、力学的特性、性能評価、生産技術(加工性、設備等)についての材料の一般的な基礎、基本的な考え方(不具合解析の知識等)、判断、判定基準の取り方、等を学ぶことに主眼を置いています。将来、自分が設計した製品が「故障しない、破損しない、破壊しない」という材料強度上の様々な事柄や考え方(例えば、疲労強度等)や、又設計に必要な材料の専門知識(最適材料、最適工法、最適試験方法、等)を、この授業からきっと多くのことを習得なさることでしょう。

(JABEE機械システム基礎工学プログラムの学習・教育目標);(D):◎、(C):○
(JABEE基本キーワード);材料の力学的性質、工業材料の種類、工業材料の性質、性能評価、加工法、等。
(JABEE個別キーワード);応力とひずみ、機能による分類、組成による分類、力学的特性、機能的特性、材料試験法、等。
(前提となる基礎知識と修得後の展開);「基礎知識」については、不問です。「履修後の展開」として期待されることは、機械を「設計」する段階で、コストと強度上の安全性(=品質)の点から、「材料」を常に考慮した「設計」を心掛けられるようになるでしょう。

<授業計画及び準備学習>
1) 「ガイダンス」 (配布資料)               2009/09/10 
2) 「機械材料総論」 (教科書:第1章)                       09/17
3) 「材料の微視構造」 (教科書:第2章)                       09/24
4) 「合金とその組織」 (教科書:第3章)                      10/01
5) 「熱処理の基礎」 (教科書:第4章)                       10/08 
6) 「材料強度の基礎」 (教科書:第5章)                       10/15 
7) 「材料試験」 (教科書:第6章)                        10/22 
8) 「鉄鋼材料(1/2)」 (教科書:第7章7.1~7.3)                    10/29 
9) 「鉄鋼材料(2/2)」 (教科書:第7章7.4~7.13)  11/05
10) 「非鉄金属材料」 (教科書:第8章)                       11/12 
11) 「高分子材料」 (教科書:第9章)                        11/26
12) 「セラミックス材料」 (教科書:第10章)                     12/03
13) 「複合材料」とその「材料設計の方法」 (教科書:第11章)             12/10
14) 「機能性構造材料」と「新材料概論」 (教科書:第12章)             12/17
15) 学習成果の確認 (期末試験)              2010/01/14(予定)

(概要):
1)では、授業の進め方(授業推進の方法)、期末試験での成績評価方法、等についてガイダンスします。
又、材料の学び方、人は何を作ってきたのか、等についても「工業材料序論」として行います。   
2)では、材料の分類、材料の製造、材料の加工法とその特性、等について触れます。
3)〜8)の6回に亘っては、主に設計した製品/部品等が設計通りに機能しているか、材料強度上の品質面主体の解析を推進する為の基礎知識、試験方法、試験機の種類、等について学びます。
9)〜12)では、主に現代の代表的な工業材料の種類と特性、及びその特徴、等について学びます。
又、8)、9)、の「鉄鋼材料」は内容が豊富なため、前半と後半(鉄鋼材料の種類)の2回に分けて行います。
13)、14)では、現代の工業材料の新材料系について、材料設計等の理解を深め、その基礎知識の習得にも努めます。
15)は、1)〜14)にて習得した事項に関する復習の意味合いで実施します。

<成績評価方法及び水準>
学習効果の確認(期末試験)の得点のみで評価します。
試験問題は、授業毎に配布します、各章毎の練習問題主体(90%以上)で出題します。
授業に出席していれば、傾向と対策は勿論、練習問題の解答も自然と分かるようになるでしょう。
試験時は、教科書、配布資料、自筆作成ノート、自筆作成の練習問題解答集、電卓、の持込み可で実施します。
「機械システム基礎工学プログラム」の学習・教育目標、D、C、は上記の基準を満たせば達成されます。

<教科書>
『機械材料工学』野口徹、中村孝共著、工学図書刊。
上記教科書は、新しい視点で編纂され、2001年に出版された材料の優れた専門書で、この1冊で、今後10年間位は設計上の材料に関する諸問題点の解決にも応えてくれることでしょう。分かり易く、読み易い記述です。

<参考書>
上記1冊で十分ですが、強いてあげれば、下記をお勧めします。
岩波講座『現代工学の基礎』〈材料系I〜VIII、8分冊〉、2001年5月〜2003年12月間の第1期刊行本、岩波書店刊、全16巻、32分冊。『現代工学の基礎』は、講座としては現在絶版中ですが、その中からシリーズ『現代工学入門』として、2005年2月より順次、専門分野別に単行本化が刊行(不定期)されていますので、参考になさって下さい。

<オフィスアワー>
毎木曜日、授業終了後(14:45以降)。12F講師室、又はB-1Fカフェテリア。授業終了時に申し出下さい。

<学生へのメッセージ>
授業は上記教科書主体で行います。練習問題を解いて、専門書の読み方等もこの際、身に付けて置きましょう。
教科書は、学部の専門課程(3,4年)、及び大学院修士課程を対象に編纂されていますので、「ちょっと難しい」部分もあるかも知れませんが、いずれは平準化されてしまう内容です。この際、頑張って、専門書を一冊、読破してみましょう。
時代の趨勢(成り行き、傾向)は、言うまでも無く、「集中(concentration)」、「速さ(speed)」、「簡潔(simple)」です。日々、真面目に取り組めば、結果的に「材料の基礎知識」と共に、これらの「習慣」も、今を生き抜く知恵として、自然と身に付けることが出来るでしょう。
「工業材料」には、この授業で取扱う「固体材料」の他に、「液体材料」(ガソリン等の燃料、オイル、グリース、ワックス等の油脂、潤滑油類、等)、「気体材料」(空気、各種ガス類、等)、がありますが、時間の都合で割愛せざるを得ませんでした。
又、授業の主体となる「固体材料」でも、磁性材料、電池材料、半導体材料、等も、同じ理由で取上げられませんでしたが、これらの材料は、考えようによっては、次のステップ(「工業材料II」の位置付け?) の「材料群」なのかも知れません。
しかし、この授業で「材料の基礎知識」をしっかりと身に付けておけば、きっと理解し易くなるでしょう。

 

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