2009年度工学院大学 第1部機械システム工学科
△物理学実験(Experiments in Physics)[2410]
1単位 幸村 孝由 准教授 [ 教員業績 JP EN ] 渡部 隆史 教授 [ 教員業績 JP EN ] 田坂 由貴 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 大学で初めて、物理学実験・化学実験をするという学生がいるかもしれない。特に、物理学実験をしたことがない学生が多いと思われるが、大学で理工学を学ぶということには、講義で理論を学び,演習で理論を応用するだけではなく,実験を通して理論の検証・発展を実際自分の手でやってみる(経験・実践する)ことが非常に重要となる。
物理学実験の授業では,講義、演習、実験の3要素の中の実験について、基本的な物理事象を通して基本的理解・実践を行うことを目的とする。そのためには,基本的な理論を理解することに加え,
●測定装置の構造の理解,適切な使用 ●正確な実験の実行 ●データ(特に誤差,精度)の正しい理解 ●必要事項をすべて網羅しかつ無駄のない実験レポートの作成
の4項目を習得することが必要である。この4項目のうち、実験レポートをまとめることは、実験の理解を深めることにもなり、また、実験レポートを書いたことがない大学1年生を対象とした授業ということもあるので、特に実験レポートを書くことができるようになることに重点をおく。 次の、 <授業計画> に示す実験テーマごとに実験レポートを提出してもらい,各実験そのものだけではなく,実験とは何かを理解していく。最終的には,実験について何も知らない読者が初読で追実験を行うことができるレベルの実験レポートをまとめることができるようにする。
- <授業計画及び準備学習>
- <第1週>
・実験の概要説明 ・実験テーマ0:ノギスとマイクロメータ(第1回) (金属試料の体積測定)
<第2週> ・実験テーマ0:ノギスとマイクロメータ(第2回) (誤差の取り扱いと解説)
<第3週> ・実験テーマ0:ノギスとマイクロメータ(第3回) (情報演習室でのExcelを用いたデータ解析の講習)
<第4週> ・誤差伝播の解説ならびにレポート作成の基本説明
<第5〜12週> ・以下の1〜12の各実験テーマは、1テーマにつき2週間の講義時間をかける。 ただし、全ての実験テーマを行うわけではなく、実際に行う実験テーマは第3週目 の講義の際に発表する。この第4〜11週の間に1回、誤差論について講義を行う 予定である。
●基礎的実験テーマを通して、基本的な実験の素養を身につける (以下の3テーマのうち、どれか1つのテーマを行う予定である) ・実験テーマ1: 重力加速度の測定 ・実験テーマ2: 音速の測定 ・実験テーマ3: 電気抵抗の測定 ●標準的実験テーマを通し、実験装置や測定する物理量への理解深める (以下の9テーマのうち、どれか3つのテーマを行う予定である) ・実験テーマ4: ヤング率の測定 ・実験テーマ5: 光の回折による微細構造の測定 ・実験テーマ6: 熱電対の校正 ・実験テーマ7: 粉粒体の密度測定 ・実験テーマ8: 電流による熱作用 ・実験テーマ9: 気体の励起エネルギーの測定 ・実験テーマ10: 電磁コイルの特性測定 ・実験テーマ11: 磁性体の磁気的特性の測定 ・実験テーマ12: 放射線測定
<第13週> ・実験予備日
<第14週> ・レポートの修正
<第15週> ・学習成果の確認
- <成績評価方法及び水準>
- 授業計画にあるように、実験テーマは0〜12まで計13テーマあり、基本的に2週間で1テーマずつ行うが、実験テーマによっては、3週間にわたって行う実験もあるため、計12テーマ全ての実験を行うわけではない。
成績評価は、実際に行った実験テーマ毎に実験報告レポートを提出し、そのレポートの内容によって成績を評価する。
・テーマ0の実験報告レポートでは、 1. 概要 2. 実験結果 3. 解析結果 4. 考察
の計4項目についてレポートで報告してもらい、これら4項目について、それぞれ5段階(0〜4点)評価を行う。したがって,テーマ0では16点満点となる(評価点A)。
・ほかの1〜12テーマについては、 1. レポートの概要 2. 物理学的動機 3. 実験方法・実験理論 4. 測定結果 5. データ解析 6. 考察
の計6項目についてレポートで報告してもらい、これら6項目について、それぞれ5段階(0〜4点)評価を行う(計24点満点)。したがって, テーマ1〜12の中から4テーマの実験を行った場合では、合計96点満点となる。(評価点B)。
この評価点Aと評価点Bによって、最終的に評価点は
(評価点)=((評価点A)÷16+(評価点B)÷96)X50
となる(各テーマの評価点を100点に規格化して成績を評価する)。ただし,実際に行った実験テーマに関し、全て実験報告レポートを提出することが単位認定の際には、必要条件とする。
また、研究報告には「早い者勝ち」的なところがある。したがって、どんなに小さな実験であっても、どんなに基本的な実験であっても、速やかにレポートをまとめる訓練を今から始める必要がある。そういったわけで、レポートの締め切りについては厳しくする。
- <教科書>
- 「物理学実験」(学術図書出版:工学院大学物理学教室編)
- <オフィスアワー>
- 火曜日1限目、木曜日3限目 (八王子校舎1号館208室)
- <学生へのメッセージ>
- 講義のことに関する質問は大歓迎です。オフィスアワー以外で質問に来る際には、電子メール(ft13049@cc.kogakuin.ac.jp)で連絡のこと。
- <備考>
- 実験テーマ(内容)を変更する場合は、第一回の講義の時に説明を行う。
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