2009年度工学院大学 第1部機械システム工学科

比較政治論(Comparative Politics)[1110]

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2単位
小野  一 准教授  
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最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
先進諸国の選挙制度の比較論的考察を通して、現代政治の問題状況を理論的・実証的に分析する。本講義における具体的な達成目標は以下のとおり。
 (1)選挙制度の一般的特性をふまえつつ、各国の選挙制度と政治状況についての概略的理解を得る。
 (2)現代政治の問題状況を知悉し、比較論的方法を用いて論理的に考察する。
 (3)授業で学んだ知見を日本政治の分析に応用し、現在進行しつつある政界再編成の意味を読み解く眼を養う。
 (4)社会科学の学修の基本である、分析力、論理的思考力、表現力を養う。

<授業計画及び準備学習>
イントロダクション:選挙制度の基本知識
【第1部】各国選挙制度比較
 1.英国:小選挙区制と二大政党制をめぐる問題
 2.米国/英国:ふたつの二大政党制の比較
 3.ドイツ:比例代表制は政情不安を招くか
 4.イタリア:小選挙区制導入の実験室
 5.韓国:戦後韓国政治史と政党政治の発展
    −−ヨーロッパ・モデルはどこまで普遍性を持ち得るか
【第2部】日本の選挙制度と政党政治
 1.1990年代以後の政界再編成
    −−二大政党制化の功罪
 2.特異な政党システムとしての「一党優位政党制」
【第3部】現代政治の問題状況
 1.「右と左」を超えて
 2.新たな政治的テーマの出現と政党政治の変容
 3.拡大する格差
    −−崩れゆく平等社会・ニッポン
 4.福祉国家の「ゆらぎ」と新自由主義
【期末試験】

<成績評価方法及び水準>
授業時間中に小レポートを適宜実施する。最終的な成績は学期末の教場試験を主たる評価基準とし、平常点を含む総合評価において60点以上を獲得した場合に合格とする。詳細は初回講義時に説明する。

<教科書>
教科書は指定しないが、「参考書」の欄を参照すること。

<参考書>
森脇俊雅他編『新版 比較・選挙政治』(ミネルヴァ書房、2004)。その他の参考書は講義中に指示する。

<オフィスアワー>
八王子校舎1号館314号室:木曜日5時限目(前期)、木曜日昼休み(後期)
新宿校舎27階2744号室:月:11〜12時(前期)、火:11〜12時(後期)、水曜日17〜18時(通年)
上記以外にも、事前に協議の上で研究室来訪の日時を予約することができる。休暇中は必ず事前に予約した上で来室すること。

<学生へのメッセージ>
政治改革は待ったなしなのに、それがなかなか進展しないことへの苛立ち。見通しのきかない状況への不安感と、結局誰がやっても変わらないよというあきらめ感。そうした中で、政治的無関心がはびこったり、見せかけだけの安易な解決に世論が動員される、という危険が私たちの社会にはあります。
 この授業では、選挙制度を軸とした国際比較という切り口により、現代政治の問題状況に迫ります。政治学の授業を通じて学生諸君に期待することは、権力や情報を独占する者の操り人形に堕することなく、理性的で批判的な思考態度を身につけて欲しい、ということです。

 

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