2009年度工学院大学 第1部機械工学科 エコエネルギーコース
△機械力学(Dynamics of Machinery)[5A01]
2単位 大石 久己 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 機械力学は機械の稼動時に生ずる問題を扱う学問である。機械の主要な機構と問題点について講義と演習を行い,機械の設計のための基礎的知識を身につけることを目的とする。以下に具体的な努力目標を示す.
1. ピストンークランク機構の慣性力とつりあわせ原理を理解する. 2. 動力伝達機構の関係式と等価モデルを理解する. 3. 回転機械のつりあわせについて理解する. 4. 回転機械のふれ回り危険速度について理解する. 5. 1自由度系の振動現象についての基本事項を理解する. (学習・教育目標) 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」: (D)◎ (キーワード) 質点の力学,質点系の力学,剛体の力学,機構の力学,ダランベールの原理,ローターダイナミクス,共振 (前提となる基礎知識と習得後の展開) 本科目を履修する前に,「数学I,II」などにより微分積分学,「物理I,II」「物理学演習I,II」「工業力学及演習I,II」などの科目により,速度と加速度,質点に働く力と運動法則,剛体の運動,仕事とエネルギー,運動量と力積の基本事項と「機構学」で機械の構造と運動,「微分方程式論」で微分方程式の解法,について習得しておく必要がある. 本科目の修得後は,「機械振動学」でさらに振動について詳しく学習する.また,機械の運動を取り扱う他の専門科目の基礎となる.
- <授業計画及び準備学習>
- 1. ガイダンスと機械力学の基礎1(13講と14講) はじめに「機械力学」の位置づけ,学習内容,他の科目との関連について示す.次に「機械力学」の学習に必要な「工業力学」の学習内容についての確認試験を行い,基礎的な事項の確認と整理を行う.(詳しくは17階に掲示する)主な内容は,力のつりあい,ニュートンの運動法則,質点の直線運動と円運動,瞬間中心,加速度の表現,運動量と力積,回転の運動方程式,代表的な形状の慣性モーメント,角運動量と角力積および角運動量保存則である.
努力目標:質点系の運動についての基礎的な事項の確認と理解 2. 機械力学の基礎2(13講と14講) 質点系の運動についてのテスト問題の確認を行い,より理解を深める.また,13講と14講の内容について確認する. 努力目標:解答の確認をし,機械力学の学習で必要とする基礎的な事項の確認と理解. 3. 往復機械の動力学(15講) 往復運動と回転運動の変換機構として利用される代表的なピストンークランク機構の運動について学習する. 努力目標:1気筒のピストンの往復運動の慣性力についてよく理解する. 4. 直列形機関のつりあわせ(15講) シリンダーの向きが同じ直列形2気筒と4気筒エンジンの慣性力のつりあわせ方法を2ストロークサイクルと4ストロークサイクルについて学習する. 努力目標:直列形機関のつりあわせ原理を理解する. 5. 多列形機械のつりあわせ(16講) 水平対向エンジン等のシリンダー列が複数ある多列形機関の慣性力のつりあわせ方法を学習する. 努力目標:多列形機関のつりあわせ原理を理解する. 6. 変速機による動力伝達(16講) 変速機による動力伝達についての関係式とその1軸等価系について学習する.これは歯車の動力伝達の基礎となる. 努力目標:変速機の関係式と等価モデルを理解する. 7. まとめ 中間試験を行い,今までのまとめを行う.また,回転機械のふつりあいについての学習の準備を行う. 努力目標:今までの内容をまとめ達成度の確認をする. 8. 回転機械のつりあわせ(17講) タービンなどの回転機械の静つりあいと動つりあいの意味と関係式について学習する. 努力目標:回転機械のふつりあいについての関係式を理解する. 9. 回転機械のまとめ(17講) いままでの回転機械のまとめを行い,整理する. 努力目標:回転機械のつりあわせについて理解を深める. 10. 1自由度系の振動モデルと運動方程式(19講) ばねと質量からなる1自由度系の運動方程式の立て方とその解法を学習する. 努力目標:1自由度系の振動現象についての基本的な事項を理解する. 11. 回転機械のふれ回り危険速度(17講) 回転機械のふれ回りの運動方程式を求め,固有振動数と危険速度との関係を学習する. 努力目標:回転機械のふれ回り危険速度の現象を理解し,求め方を学習する. 12. 回転機械のねじり危険速度(18講) ねじりのばね定数の概念を定義し,回転機械のねじりの運動方程式の求め方を学習する. 努力目標:回転機械のねじりの危険速度の求め方を理解する. 13. 歯車の動力伝達(18講) 2軸の歯車やベルトを介した動力伝達機構の運動方程式について学習し,等価な1軸系へのモデル化が可能であることを示す.最後に,今までの講義内容を整理し,「機械力学」の基本事項の復習とまとめを行う. 努力目標:歯車の動力伝達機構の等価モデルについて理解する. 14. 授業のまとめ 授業の重要事項をまとめ,理解を深める. 15. 期末試験
- <成績評価方法及び水準>
- 中間試験(40%),期末試験(60%)の結果の合計が60点以上の場合に単位を認める.ただし,演習と課題が提出不十分な場合は減点する.
学習・教育目標 Dは,上記の評価基準を満たせば達成される.
- <教科書>
- 「機械力学 機構・運動・力学」三浦宏文他著(朝倉書店)
- <参考書>
- 「機械力学」辻岡康著(サイエンス社)
「基礎振動工学」芳村,横山,日野共著(共立出版)
- <オフィスアワー>
- 金曜日12:15〜12:55(新宿1772室または1863室).これ以外でも,1772室前の質問用紙(記入例に従って記入)と掲示連絡で対応可.E-mail:at21650@ns.kogakuin.ac.jp
- <学生へのメッセージ>
- 1,2年で学習した物理,力学系の科目の復習を履修前にしておくことを期待する.特に,質点系の運動と剛体の運動が基礎となるので重要である.また,いわゆる四力の内の1科目として他の専門科目の基礎となる科目である.しっかり学習すること。授業のはじめに工業力学の中で機械力学に関連する箇所の確認試験を行う.準備をしておくこと(17階に掲示).また,演習課題を行うことで自分の理解度を確認し,より理解を深めてもらいたい.なお,演習問題の解説にはできるだけ時間をとるようにしたいが,講義科目であるので,個々の対応は十分できない.課題が出されたならばすぐに問題を解き,分かったところと,分からなかったところを確認し,次の授業に臨んでもらいたい.さらに説明後に改めて問題を見直し,確実に理解するように努力してもらいたい.
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