2009年度工学院大学 第1部機械工学科 エコエネルギーコース

蒸気工学(Steam Energy Technology)[4C02]

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2単位
大竹 浩靖 教授  
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最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
まず、文明の根底を支えている動力(エネルギー)の供給の現状を理解する。ついで、動力供給の大部分を担っている蒸気を動作流体とする蒸気原動機のサイクル(ランキンサイクル、二相サイクル)と主要構成機器を理解する。主要機器の中心を成す蒸気タービンとボイラーの構成原理と動作特性、設計のための基礎理論を理解する。蒸気タービンの速度三角形を理解し、段落計算、発生仕事と効率計算ができる能力、ボイラーの形式を理解し、水循環また発生蒸気量と燃料・空気供給量計算能力を身に付けることを目指す。

(JABEE学習・教育目標)
 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:(A)○、(D)◎、(F)○
(JABEEキーワード)
 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:質量と運動量の保存、エネルギー保存則、熱力学第二法則、熱移動と温度、気体の流動、エネルギーの形態と変換、二相サイクル、熱放射と放射伝熱、相変化、熱機器、動力システム
(前提となる基礎知識と習得後の展開)
 本科目を履修する前に、工業熱力学I及演習、工業熱力学IIにより、物質や諸機械の熱的性質や作用の理論、蒸気の性質、熱から動力への転換を、伝熱工学により熱の伝達と流動に関する項目を習得しておく必要がある。本科目の修得により、実際の動力機器の初歩的設計が可能となる。

<授業計画及び準備学習>
1.概説。本講義趣旨説明。エネルギー事情と電力供給。蒸気動力プラントの特徴。
2.蒸気の一般的性質、h-s線図、定常流のエネルギー式の復習。
3.蒸気動力プラントの熱サイクル(ランキンサイクル)。火力動力プラント。ランキンサイクルの熱効率と効率改善法。再熱サイクル、再生サイクル。
4.各種動力プラント。原子力発電プラント、熱併給プラント。コンバインドサイクル。
5.蒸気タービンの作動原理と形式。段、ノズル、回転羽根。衝動段、反動段。
6.ノズル内の流動。断熱熱落差、先細ノズル、末広ノズル。ノズルの速度係数。
7.回転羽根内の流動。速度三角形、回転羽根の速度係数、段の線図効率、線図仕事。
8.中間試験
9.速度複式衝動段。反動段の線図効率。
10.蒸気タービンの諸損失と性能。内部損失、外部損失、タービン内部効率、機械効率、有効効率、有効仕事、タービン熱効率。
11.蒸気タービンの主要部。蒸気タービンの制御。
12.ボイラーの構成と種類。丸ボイラーと水管ボイラー(自然循環ボイラー、強制循環ボイラー、貫流ボイラー)。
13.ボイラーの水循環と二相流動。ボイラーの容量と性能値。蒸発容量、換算蒸発量、ボイラー効率。
14.ボイラー燃料と燃焼。液体・固体・気体燃料、燃焼装置。燃焼と所用空気量、燃焼ガス。
15.定期試験

<成績評価方法及び水準>
 原則として定期試験で最終成績を評価し,60点以上の者を合格とします.なお、毎講義時間内に簡単な演習問題を解いてもらいます。また、中間試験も行います。最終成績の細かい評価に関しては、毎講義時間内の演習および中間試験の結果も一部分考慮します。
 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」の学習・教育目標(D)の一部は,上記の評価基準を満たせば,達成されます.

<教科書>
「ボイラーおよび蒸気原動機」植田辰洋著(共立出版)

<参考書>
「大学演習工業熱力学」谷下市松編(裳華房)
「JSMEテキストシリーズ 熱力学」日本機械学会(丸善)

<オフィスアワー>
主として講義後約1時間。講義後、問い合わせて下さい。

<学生へのメッセージ>
 James Wattの蒸気機関以来、現在も、かつ、未来も、蒸気原動機のサイクルによるエネルギー供給は重要なものです。講義を通して、その重要さと近未来の機械技術者の役割を理解して下さい。
(授業最初の日(9/10)にお配りしたものと同じ内容です。)

<参考ホームページアドレス>
http://intra.ns.kogakuin.ac.jp/~at10988/

 

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