2009年度工学院大学 第1部機械工学科 エコエネルギーコース
△燃焼工学(Combustion)[1B01]
2単位 是松 孝治 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 燃焼反応は熱や電気あるいは光を得る手段として用いられている。工業的観点からは,燃焼過程を良く理解し,これを自由に制御することが大切である。具体的な達成目標は以下のとおりである。
(1)エネルギー形態と変換(燃料から熱、電気、光への変換)としての燃焼反応(過程)について理解する、 (2)反応の熱力学を理解し、反応熱の計算ができること及び熱力学第二法則を基礎にした化学平衡組成の計算法が理解できること、 (3)熱着火理論とラジカルの増加による着火理論の対比ができること、 (4)層流/乱流予混合火炎における流れと燃焼との関係を理解するとともに反応計測技術を理解する (5)予熱帯の厚みの計算ができること、 (6)火炎の安定機構を理解できること、 (7)衝撃波に誘導されるデトネーションのZDNモデルを理解する、 (8)火炎による熱放射と放射伝熱及び燃料液滴の物質移動と燃焼反応について理解する、 (9)燃料電池の理論熱効率と起電力の計算ができること、 (10)ダイオキシンの生成機構を理解する (JABEE学習・教育目標) [機械工学エネルギー・デザインプログラム]:(D)◎、(F)○ (JABEEキーワード) [機械工学エネルギー・デザインプログラム]:熱力学第二法則、エネルギー形態と変換、燃焼反応、反応の熱力学、層流/乱流、熱放射と放射伝熱、対流熱伝達、反応計測、火炎、衝撃波、物質移動 [前提となる基礎知識と習得後の展開] 「物理学I」、「物理学II」、「化学I」、「化学II」、「微分方程式論」、「流れ学I及演習」、「工業熱力学I及演習」「内燃機関」で与えられた知識を持っていることを前提にして講義が計画されている。本科目習得すれば、「エンジンシステム」、「ガスタービン」、「自動車工学」、「航空宇宙工学」、「環境制御工学」などの関連科目への展開に必要な基礎知識を備えることができる。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.緒論(歴史,燃料とその展望),エネルギー形態と変換(燃料から熱、電気、光への変換)と燃焼反応(過程)
2.反応の熱力学(反応熱、Hessの法則,標準生成エンタルピー) 演習課題1 3.反応の熱力学(化学量論,熱解離と化学平衡) 演習課題2 4.反応の熱力学(熱力学第2法則と化学平衡) 演習課題3 5.反応機構,反応速度,反応殻の突破とArrhenius式 演習課題4 6.着火,熱着火理論,初期着火域の対流熱伝達、爆発半島、冷炎,強制着火 演習課題5 7.層流と乱流予混合火炎,層流火炎の構造,予熱帯の厚み 演習課題6 8.反応帯の厚み,乱流予混合火炎,乱れの強さとスケールが火炎挙動に及ぼす影響、反応計測技術、火炎の安定化,臨界速度こう配 演習課題7 9.デフラグレーションとデトネーション,Rayleigh線とHugoniot曲線、衝撃波の誘導する反応(ZDNモデル) 10.液体燃料の燃焼,液面燃焼と火炎による熱放射と放射伝熱、燃料液滴の物質伝達と燃焼反応 演習課題8 11.燃料電池の原理と熱力学(標準生成自由エンタルピーの計算) 演習課題9 12.廃棄物燃焼によるダイオキシンの生成 13.定期試験
- <成績評価方法及び水準>
- 講義中に指示する「演習課題」(講義終了後に自力で考えてくる宿題であり、次の講義のはじめに提出する)および授業の途中で行う「演習」を評価に加味する。この「課題演習」の内容は<授業のねらいと具体的な達成目標>に深く関連しており、単位取得には欠かせない条件になる。最終的に、定期試験による総合評価を行う。
すべての演習課題を提出し、定期試験が合格すれば、「機械工学プログラム」の学習.教育目標(D)、(F)が達成される。演習課題が30%,定期試験が70%として評価し,それらの合計が60点以上なら合格とする。
- <教科書>
- 1)熱力学教育研究会「機械技術者のための熱力学」産業図書
- <参考書>
- 1)「燃焼工学」大竹・藤原著(コロナ社)
2)「燃料電池」高橋著(共立出版) 3)「環境工学入門」鍋島・森棟・是松著(産業図書) 4)「機械技術者のための熱力学」熱力学教育研究会編(産業図書)
- <オフィスアワー>
- 講義終了後1712室にいます。質問/雑談歓迎。
- <学生へのメッセージ>
- 燃料電池の異常な期待の高まりが、燃焼工学を通じて君たちに伝える内容を増やしました。エンジンと燃料電池には学問的に密接なつながりがあります。
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