2009年度工学院大学 第1部機械工学科

工業熱力学I及演習(Engineering Thermodynamics I and Exercise)[1155]

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3単位
大竹 浩靖 教授  
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宮下  徹 講師  
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最終更新日 : 2011/02/16

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 熱はエネルギーの一つの形である。熱力学は物質の圧力,容積および温度の変化(熱力学的過程)を述べる。そして,熱力学は,熱と仕事は相互に変換可能である(第1法則)が,自然界に何ら変化を残さず熱を継続的に仕事に変えることは実現不可能である(第2法則)ことを与える。工業熱力学では,熱と仕事およびそれらの変換に関して扱い,熱力学理論の工学的応用(熱エネルギーから機械的エネルギーの生産)を導くことを目的とする。
 具体的には,理想気体の状態方程式と熱力学第1法則および第2法則を組み合わせて,熱や仕事,エンタルピーやエントロピーの変化量を定量的に計算できる能力の習得を目指す。併せて,それらの物理的概念の習得も目指す。

(JABEE学習・教育目標)
 「機械工学プログラム」: (D)◎
(JABEEキーワード)
 「機械工学プログラム」:状態量と状態変化、エネルギー保存則(熱力学の第一法則),熱力学の第二法則,状態方程式,気体の流動,エネルギーの形態と変換,ガスサイクル,統計熱力学,分子気体力学
(前提となる基礎知識と習得後の展開)
 本科目を履修する前に,「数学I・II」「数学演習」などにより微分積分学を,「物理学I」により熱学の基礎を,さらに,「工業力学及演習I・II」などの科目により,速度と加速度,仕事とエネルギー,動力に関する項目を習得しておく必要がある.本科目の修得後は,「工業熱力学II」に進み,「伝熱工学」「蒸気工学」「燃焼工学」などの応用的な科目を履修することができる.

<授業計画及び準備学習>
毎週2時限続けて授業を行う。主に,初めの時限で講義を行い,次の時限で前時限の講義に関する演習を実施し,講義内容を体得する。演習は,少人数グループごと,指導を受けながら進める。
1. 授業のガイダンスと熱力学の基礎事項
授業の進め方,熱力学とその応用の歴史(第1、2法則),単位(SI),記号,温度(絶対温度),圧力(絶対圧力,ゲージ圧力,真空度),状態量など。
2. 熱力学第1法則(1)
熱平衡と熱力第ゼロ法則,熱と仕事の作用と効果の同等性(エネルギーの形態と変換)。
3. 熱力学第1法則(2)
状態変化,純静的過程,エンタルピー,比熱。
4. 理想気体の状態変化
状態方程式,気体分子運動論(分子気体力学),内部エネルギー,理想気体の比熱,代表的な純静的変化。
5. 開いた系(気体の流動)
定常流動系,連続の式,エネルギー式。
6. 開いた系(気体の流動)続き
ノズルを通る可逆断熱流れ,臨界流と臨界圧力,マッハ数,断熱熱落差。
7. 中間試験(電卓のみ持ち込み可の予定)
8. 理想気体の混合
一定容積における混合,混合気体の性質。
9. 熱力学の第2法則(1)
新しい概念の導入の必要性,熱力学第2法則,変化過程とサイクル,可逆過程と不可逆過程と純静的過程。
10. 熱力学の第2法則(2)
サイクルの熱効率,動作係数,カルノーサイクル,熱力学的温度,エントロピー,統計力学的なエントロピーの概念と熱力学的確率(統計熱力学の初歩)。
11. 熱力学の第2法則(3)
固体,液体,気体のエントロピー,不可逆過程によるエントロピーの増加,有効エネルギー(エクセルギー),無効エネルギー(アネルギー)。
12. 熱と仕事の変換サイクル(ガスサイクル)(1)
機械的エネルギーの生産,熱機関の仕事発生の原理。オットーサイクル,ディーゼルサイクルの状態変化を通しての熱効率の計算。
13. 熱と仕事の変換サイクル(ガスサイクル)(2)
複合サイクル(サバテサイクル)の状態変化を通しての熱効率の計算。オットーサイクルの熱効率とディーゼルサイクルの熱効率の比較。
14. 熱と仕事の変換サイクル(ガスサイクル)(3)
ガスタービンの概説。ブレイトンサイクルの状態変化を通しての熱効率の計算。中間試験の返却と解説。
15. 期末試験(電卓のみ持ち込み可の予定)

<成績評価方法及び水準>
 中間試験と期末試験を実施する。これらの試験結果と演習時の解答の発表点を総合(中間試験1/3、期末試験1/3、演習点1/3)して成績の評価を行う。なお、客観的事由なしに中間および期末試験の区別にかかわらず1回でも試験未受験者は成績評価の対象者からはずれます。試験未受験者は病気診断書,電車遅延証明書等,客観的事由の提示の後,追試験を受験して下さい。
 総合評価点60点以上を合格とします。
 「機械工学プログラム」の学習・教育目標(D)の一部は,上記の評価基準を満たせば,達成される.

<教科書>
「大学演習工業熱力学」谷下市松編(裳華房)

<参考書>
「JSMEテキストシリーズ 熱力学」日本機械学会(丸善)
「基礎熱力学」谷下市松著(裳華房)
「基礎工業熱力学」P.B. Whalley著,多田壽雄訳(裳華房)
「熱力学,統計力学」原島鮮(培風館)
演習問題はプリント冊子を配布する。

<オフィスアワー>
主として講義・演習終了後約1時間,八王子校舎講師室にて。

<学生へのメッセージ>
機械工学における基礎力学の一つです。しっかり,身に付けて下さい。
(授業最初の日(9/7)に、紙にてお配りしたものと同じ内容です。)

<参考ホームページアドレス>
http://intra.ns.kogakuin.ac.jp/~at10988/

 

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