2009年度工学院大学 第1部機械工学科
△現代社会の倫理(Ethics for Our Society)[1103]
2単位 岡田 大助 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 日本倫理思想史上の主要なテキストとの対話を通して、現代社会を生きる倫理を考える。
「達成目標」 自己とは何か、愛とは何か、誠実とは何か等、倫理学上の様々な問いに対して、講義で紹介した思想家との対話を通して、自分の言葉で答えられるようになること。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.ガイダンス 「近代」と「現代」
2.夏目漱石の倫理思想(1)「現代日本の開花」と「私の個人主義」 3.夏目漱石の倫理思想(2)小説『こころ』に見るエゴイズムと個人主義の限界(1) 4.夏目漱石の倫理思想(3)小説『こころ』に見るエゴイズムと個人主義の限界(2) 5.夏目漱石の倫理思想(4)小説『こころ』に見るエゴイズムと個人主義の限界(3) 6.夏目漱石の倫理思想 まとめ 7.『平家物語』の倫理思想(1)実盛 8.『平家物語』の倫理思想(2)兼平 9.『平家物語』の倫理思想(3)維盛(1) 10.『平家物語』の倫理思想(4)維盛(2) 11.『平家物語』の倫理思想(5)重衡(1) 12.『平家物語』の倫理思想(6)重衡(2) 13. 『平家物語』の倫理思想(7)忠度 14. 『平家物語』の倫理思想 まとめ 15. 学習成果の確認(試験)
- <成績評価方法及び水準>
- 「達成目標」に達しているかを問う定期試験(100点)によって成績を評価、60点以上の者に単位を認める。問題は、(1)講義の要約、(2)それに関する問いを立て自分の考えを論述すること、の二点を課す。なお、成績評価の詳細については、第一回目の講義でより具体的に説明するので、必ず出席すること。
- <教科書>
- なし。プリントを配る。
- <参考書>
- 佐藤正英『日本倫理思想史』東京大学出版会
相良亨「『平家物語』の基調」『相良亨著作集第四巻』所収、ぺりかん社。
- <オフィスアワー>
- 授業前後、教室または講師室にて。
- <学生へのメッセージ>
- 国際化する現代社会を生きる我々が、「倫理」について考えるに当たり、他国の考え方に開かれていることの重要性は論を待ちません。しかし、そのためには、同時に、自らの内なる伝統を自覚することが必要です。ところが今日、後者を顧みる機会はほとんどありません。以上から、本講義では、日本の倫理思想史に焦点を当てて学習します。講義の前半では、日本の倫理思想史においては現代とひとくくりにされる近代の自己を中心とする思想とその問題点について、夏目漱石を素材として考えてゆきます。後半は、それと比較しながら、『平家物語』に見ることのできる日本人の様々な伝統思想を見てゆきます。現代社会の倫理を考えるといっても、自らの内なる伝統を正確に理解しながら、それを安易に否定するのでも肯定するのでもなく、それと対話してゆくことで、実りある思索ができることを、実感してほしいとおもいます。
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