2008年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科

物理学I(Physics I)[2229]

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2単位
加藤  潔 教授  
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最終更新日 : 2009/11/04

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
グローバルエンジニアリング学部における学習の土台の1つとして,物理学の基礎を学ぶ。
物理学Iでは力学が中心となる。高校での物理学未習者がいることも考慮して基礎的なレベルから学んでいく。この科目は「物理学演習I」と対をなすもので,講義と演習が連携しながら進行する。講義では基本的な概念や定理を学習し,演習で実際に手を動かして問題を解くことにより理解を定着させる。演習問題はすべて英文であり,プリントを配布する。
以下の項目を習得することを目標とする。
(1)各種の物理量と単位系、物理量の間の数学的関係の把握と計算ができること。ベクトル量の扱いを理解すること。
(2)各種の力(重力、抵抗力、復元力、向心力など)の意味が理解できること。
(3)具体的な対象が与えられたときに、前項の力を使って、運動方程式を書き下すことができること。2階微分方程式の範囲で、その方程式を解き、その結果の物理的意味が把握できること。
(4)エネルギーと運動量の保存則を理解し、対象に対して、これらの保存則を適用することができること。
(5)剛体のつりあい条件を理解し、対象に対して、これらの条件を適用することができること。

(前提となる基礎知識と修得後の展開)
本科目で修得した内容は,「物理学演習I」,「物理学II」,「物理学演習II」,「物理学III」,「物理学演習III」および,物理学の知識を基礎として要求する各専門科目の履修に役立つ。

(JABEE学習・教育目標)
「国際工学プログラム」
(C)基礎工学・専門工学知識の習得:◎
JABEE基準1の(1)の知識・能力:(c)(d)の(1):◎

<授業計画>
1. 序論。物理学の方法。一般常識(SI単位系,ベクトルなど)。
SI単位系の構造,接頭語などを学ぶ。力などのベクトル量について,合成と分解,接線成分,法線成分の定義などを学ぶ。
2. 数学的準備(1)。座標系。連続的変化と微分。速度と加速度。
位置と速度の関係について詳しく議論し,連続的に変化する物理量の間の関係式が微分により表現されることを理解する。簡単な運動については,具体的に速度,加速度が計算できる。
3. 数学的準備(2)。積分。密度分布。
前回での位置と速度の関係を逆転して,物理量の間の関係式が積分により表現されることを理解する。そして,初期条件の重要性と使い方を学ぶ。密度を例として分布量(場)の扱いを理解する。
4. 質点力学(1)。ニュートンの力学法則。等加速度運動。
ニュートンの3法則を学ぶ。重力による運動を例として,等加速度運動の扱いを理解する。2次元の放物運動についても学ぶ。
5. 質点力学(2)。抵抗力。
運動方程式の解法の例として,抵抗力を扱う。微分方程式の扱いについて概略を理解し,結果の物理的意味(終端速度など)を理解する。
6. 質点力学(3)。単振動。
運動方程式の解法の例として,単振動を引き起こす力を扱う。微分方程式の扱いについて概略を理解し,結果の物理的意味(単振動の性質)を理解する。
7. 質点力学(4)。円運動。
円運動をしている質点に働く力,向心力を理解する。この定式化が地球の運動や原子の中の電子の運動にも使えることを学ぶ。
8. 質点力学(5)。運動と座標系。慣性力。
ガリレオの相対性原理を学び,なぜ地球が動いていることを感じないかを理解する。慣性力として,乗り物の発進・停車時に働く力は何か,遠心力コリオリ力とはどのようなものかを理解する。
9. 力学の保存量(1)。仕事。力学的エネルギー。
保存量の概念について学ぶ。目に見えないエネルギーを理解するために正確な仕事の定義を理解する。運動エネルギーとポテンシャルエネルギーについて学び,その簡単な応用例を扱う。
10. 力学の保存量(2)。運動量と角運動量。衝突。
ベクトルの保存量である,運動量と角運動量について学び,その保存則を理解する。運動量保存則の応用として衝突現象を扱う。
11. 万有引力。ケプラーの法則。質量の概念。
ケプラーの観測結果から,どのように万有引力が導かれたかを円運動近似で議論する。万有引力により現象を理解する例として,地上の重力,静止衛星,脱出速度を扱う。慣性質量と重力質量の概念を学ぶ。
12. 剛体の力学(1)。剛体の記述。重心。抗力、摩擦力。
剛体と質点を対比させて,回転運動の自由度と扱いを理解する。一様で簡単な形状の物体の重心の計算法を学ぶ。剛体間の接触面で働く力を学ぶ。摩擦係数について学ぶ。
13. 剛体の力学(2)。力のモーメント。剛体のつりあい(静力学)。
力のモーメントの定義を学ぶ。そして,剛体のつりあい条件を理解し,簡単な系のつりあい条件を分析して理解を深める。

14.試験期間に定期試験を実施する。

<成績評価方法及び水準>
成績評価=A+Bとし,その値が60点以上の者に単位を認める。
A=期末試験の評価点(70点満点),B=予習・復習課題,授業中の課題に対する評価点(30点満点)。
「国際工学プログラム」の学習・教育目標(C)は、本科目およびこの目標に対応する卒業に必要な他の該当科目をすべて習得することにより達成される。

<教科書>
「理工系物理学講義(改訂版)」加藤潔(培風館)

<オフィスアワー>
火曜4時限(八王子校舎1号館2階の物理実験準備室)

<学生へのメッセージ>
担当者ホームページ(http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft82039/)に講義に関する詳細な指示,試験などに関する連絡、講義資料や昨年度の試験問題などを提示しているので各自確認しておくこと。オフィスアワー以外の担当者への質疑や面談の予約は電子メールで行なうこと。
(注:工学院大学では入学時に全学生にインターネットにアクセスできるIDを交付する。また,情報処理演習室は空き時間であれば自由に利用できる。従って,すべての学生は電子メールの送受信やホームページを見ることが可能である。)

<参考ホームページアドレス>
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft82039/

 

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