2008年度工学院大学 第1部電子工学科

計測工学(Fundamentals of Instrumentation)[5B14]

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2単位
藤村 貞夫 非常勤講師

最終更新日 : 2009/11/04

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
各種計測技術の紹介を通じ,計測工学<対象に関する情報や知識を獲得する方法を考究する,科学,工学などに普遍的に必要な学問>の基本的考え方,計測系設計の方法論などを習得する.

<授業計画>
この講義では,基本的な量の計測に用いられる技術を具体的に紹介しながら,計測の基礎的な方法や基本的な考え方,さらには,計測系設計の方法論の一部に触れ,知識や情報を獲得するためのアプローチの方法について考察する.講義内容を類別して列挙すると,1.計測の基礎,2.非接触計測各論(距離,速度,形状,温度など),3.先端計測(画像・パターン計測,逆問題型計測など),4.計測系の機能と構造 となる.講義では,各論を中心に上述の方針で進める.

第1週 [ガイダンス] 計測工学の目的,方法,動向など概論的な事柄について学ぶ.アンケートを実施し,バックグラウンドの有無,興味ある分野,講義に対する希望などを調査する.

第2週 [距離測定:レーダ法] レーダ法の原理,変位の拡大とその効果について学び,応用として,月測距,SLR (Satellite Laser Ranging レーザ衛星測距),ライダ,水深計などを学ぶ.

第3週 [距離測定:変調法] 変調法の原理,方法について学ぶ.応用例としてGPS(Global Posisitioning System)を用いた地形変形計測(火山活動計測),ジオイド計測などについて学ぶ.

第4週 [距離測定:計数法] レーザ光を用いた変位の計測法の原理,方法を学ぶ.応用として,LSI製作などに不可欠な位置決め装置,重力加速度の測定装置などについて学ぶ.

第5週 [計測基礎] 測定値に含まれる不確かさについて考察するとともに,計測系の感度向上,ダイナミックレンジ拡大の方法について学ぶ.

第6週 [距離測定:三角測量法] 三角測量法の原理,方法について学ぶ.応用として,AF(Auto Focus)カメラの焦点合わせ,恒星測距,VLBI(Very Long Baseline Interferometer)などについて学ぶ.

第7週 [距離測定:エンコーダ法,モアレ法] エンコーダ法,モアレ法の原理,方法について学ぶ.リニアエンコーダ,ロータリーエンコーダと,モアレ縞による変位拡大の原理などについて学ぶ.モアレ縞を用いる変位拡大原理(斜面を利用した拡大)が,マイクロメータなどの拡大原理に通じること,また,その他の拡大法(ビート利用[例:ノギス],てこ[機械的,電気的,光学的など]の利用など)についても学ぶ.

第8週 [速度測定:ドプラー法] 光のドプラー効果とそれを用いた速度測定法の原理と方法について学ぶ.具体的な光学系の構成と特徴について学ぶ.

第9週 [速度測定:相関法] 光路と直交する方向の速度測定に用いる相関法の原理と信号処理法について学ぶ.相関関数の意味とランダム信号の自己相関関数の性質についても学ぶ.

第10週 [速度測定:空間格子法] 空間格子法の原理と信号処理について学ぶ.さらに,この方法と相関法,ドプラー法との関連についても学び,同じ方法でも視点を変えることで新しい見方ができることを学ぶ.

第11週 [形状計測:モアレ法,三角測量法] ロボットビジョンなど,立体形状を求める方法について学ぶ.

第12週 [形状計測:CT(Computed Tomography) & SPM(Scanning Probe Micorscope)] 医療でも多用されるCTの原理と,ミクロな形状計測の原理について学ぶ. 

第13週 [温度計測] 温度計測(接触型,非接触型)の原理と方法について学ぶ.体温計を例にして,具体的な実現方法についても学ぶ(水銀体温計,電子体温計,耳温計など)


 








 

<成績評価方法及び水準>
基本的に期末試験の成績で評価する.試験の成績が60点以上の者には単位を認める.60点に僅かに満たない者については講義の際に提示するレポート問題への解答も考慮する,ただし,レポートの内容(正解か否かは問わない.真剣な取り組み方を重視する)に応じて加点して60点以上と認められる者には単位を認める.なお,独創的なレポート解答や質問に対しては内容に応じて加点する一方,人のを写したり,人に写させたりした者のレポートは減点し,成績に反映させる.なお,試験には,何処かに記載された内容をそのまま写すだけで解答になるような問題は出題しないので,予め,厳に覚悟して受講して欲しい.

<教科書>
「光計測の基礎」 藤村貞夫編著(森北出版)

<参考書>
「計測法通論」 真島正市,磯部孝編(東京大学出版会)
「センサ工学」 森村正直,山崎弘郎共編(朝倉書店)

<オフィスアワー>
原則として,金曜日3時限目の講義終了後20分間,新宿キャンパス12階講師室で.

<学生へのメッセージ>
講義内容,教科書などを鵜呑みにしないで疑問をもち,自分の頭で考える習慣をつけて欲しい.真剣に考えて犯す誤りや失敗を畏れないこと.誤りは正せばよい.レポート問題,自習問題への解答も自分で考えて行うこと.間違えることは一向に構わない.返却時に解説をするので,その時点で考え方や方法の誤りを正せばよい.自分で真剣に考えて誤っていれば二度と同じ過ちをしないで済む.自分の考え方をチェックする意味でも,解答には必ず考え方,途中経過を明確に記述すること.必ず解説を聴くこと.また,分からないことは遠慮なく質問すること.

 

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