△現代社会の倫理（Ethics for Our Society）[1103]

＜授業のねらい及び具体的な達成目標＞

日本倫理思想史上の主要なテキストとの対話を通して、現代社会を生きる倫理を考える。
「達成目標」　(1)「倫理」とは何か(2)人間とは何か(3)私とは何か、といった倫理学の問いに対して、講義で紹介した思想家との対話を通して、自分の言葉で答えられるようになること。

＜授業計画＞

１．ガイダンス　「近代」と「現代」　
２．夏目漱石の倫理思想(1)「現代日本の開花」と「私の個人主義」
３．夏目漱石の倫理思想(2)小説『こころ』に見るエゴイズムと個人主義の限界　前半
４．夏目漱石の倫理思想(3)小説『こころ』に見るエゴイズムと個人主義の限界　後半
５．夏目漱石の倫理思想まとめ（小テスト）
６．北村透谷の倫理思想(1)北村透谷の生涯
７．北村透谷の倫理思想(2)『内部生命論』
８．北村透谷の倫理思想(3)『恋愛論』
９．北村透谷の倫理思想まとめ（小テスト）
10．『平家物語』の倫理思想(1)武士道　兼平、知盛
11．『平家物語』の倫理思想(2)情愛　宗盛、維盛
12．『平家物語』の倫理思想(3)仏法　義王、重衡
13．定期試験

＜成績評価方法及び水準＞

授業の理解を問う小テスト（20点）と、「達成目標」に達しているかを問う定期試験（80点）によって成績を評価、60点以上の者に単位を認める。両者ともに、(1)講義の要約、(2)それに関する問いを立て自分の考えを論述すること、の二点を課すが、小テストでは(1)が、定期試験では(2)が中心となる。なお、成績評価の詳細については、第一回目の講義でより具体的に説明するので、必ず出席すること。

＜教科書＞

なし。プリントを配る。

＜参考書＞

佐藤正英『日本倫理思想史』東京大学出版会
相良亨「『平家物語』の基調」『相良亨著作集第四巻』所収、ぺりかん社。

＜オフィスアワー＞

授業前後、教室または講師室にて。

＜学生へのメッセージ＞

　国際化する現代社会を生きる我々が、「倫理」について考えるに当たり、他国の考え方に開かれていることの重要性は論を待ちません。しかし、そのためには、同時に、自らの内なる伝統を自覚することが必要です。ところが今日、後者を顧みる機会はほとんどありません。以上から、本講義では、日本の倫理思想史に焦点を当てて学習します。講義の前半では、日本の倫理思想史においては現代とひとくくりにされる近代の思想とその問題点について、夏目漱石、北村透谷を素材として考えてゆきます。後半は、それと比較するために、『平家物語』に見られる様々な思想を見てゆきます。

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