2008年度工学院大学 第1部応用化学科

細胞工学(Cell Engineering)[2E15]

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2単位
羽田 勝二 非常勤講師

最終更新日 : 2009/11/04

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
授業のねらい:生物体は動物や植物も微生物と同様に「細胞」でできている。ヒトは古来からそれらの能力を生活の場に役立ててきた。一方、遺伝子組換え技術(遺伝子工学)の発明はその利用形態を一変させ、細胞培養の進歩と相まって、種の障壁を超えてこれらの細胞の多面的利用を可能にした。今、ヒトES細胞やiPS細胞による再生医療がホットなテーマになっている。また、資源やエネルギー問題、地球環境問題、人口・食糧問題などの解決のカギを植物細胞が握っている。本講義では、「細胞」という切り口でそれらの利用を考える。
達成目標:1)細胞そのものを理解する。2)古来から物質生産(発酵生産)に使われてきた微生物の利用技術が現代に生きていることを学ぶ。3)再生医療を中心に、動物細胞の利用を考える。4)資源、食糧、地球環境問題などの解決の主役となる植物細胞の利用を考える。

<授業計画>
1.細胞:大腸菌からヒトに至るまで、生命あるものは「細胞」でできている。
2.微生物利用:古典的発酵から発酵工業へ。
3.発酵工業:微生物の育種改良と大量培養による工業的物質生産。
4.微生物の多面的利用:固定化酵素、バイオエタノール、バイオレメディエーションなど。
5.遺伝子操作:遺伝子工学の基本技術。
6.異種タンパク質の生産:遺伝子操作によりヒトのタンパク質を大腸菌や酵母に作らせる。
7.動物細胞:動物細胞を培養する。
8.動物細胞の利用:モノクローナル抗体の産生や糖タンパク質の生産。
9.再生医療:幹細胞による再生医療。
10.生体工学:ES細胞やiPS細胞の樹立と再生医療への応用に期待。
11.植物細胞:植物細胞の培養と遺伝子組換え作物の創生。
12.植物細胞の利用:資源、地球環境問題などの解決の切り札となる。
13.まとめ:細胞工学の将来展望。

<成績評価方法及び水準>
微生物、動物および植物細胞の、各3分野の細胞利用に関する小論文の提出を課す。それを中心に評価し、出席点を加味して、60点以上を合格とする。期末試験は行わない。

<教科書>
「細胞工学の基礎」(永井、富田、長田)(2004、東京化学同人、,400)および参考資料(配布)

<参考書>
1.「新版 生物工学基礎」(大倉、北爪、中村)(2002、講談社)
2.「人に役立つ微生物のはなし」(日本農芸化学会)(2002、学会出版センター)
3.「生命工学」(浅島誠、山村研一)(2002、共立出版)
4.「ヒトES細胞 なぜ万能か」(中辻憲夫)(2002、岩波書店)
5.「人体再生:幹細胞がひらく未来の医薬」(日経サイエンス別冊、2006)
6.「DNA農業」(岡田吉美)(1997、共立出版)
7.「植物力」(新名惇彦)(2006、新潮社)

<オフィスアワー>
授業の前(約1時間)と後(フリー)

<学生へのメッセージ>
「小論文」は自分で考え、学ぶことを主眼としたものである。コメントして返却する。

 

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