2008年度工学院大学 第1部機械システム工学科

生産管理(Production Management)[6A02]

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2単位
榎本 昌之 非常勤講師

最終更新日 : 2009/11/04

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
日本の産業の中で,製造業は依然として重要な位置を占めている.各メーカは,顧客満足向上と適正な利潤追求の両立を目指して,製品やサービスのQCD(品質,コスト,デリバリ)の改善に継続して取り組んでいる.この授業では,メーカで製品を生産する際に必要となる計画や管理の手法を中心に解説する.さらに,生産管理の専門事項だけでなく,マーケティング,新製品開発,資材購買管理,物流管理,生産準備など広義のものづくりについて,基本的な考え方とトピックスを説明する.製造業を中心とした具体的な事例を交えながら,日本メーカ(特に電機業界)が現在直面している課題についても紹介する(必要に応じて生産活動に関するビデオを上映).
以下に,具体的な達成目標を示す.
(1)メーカで製品を生産する際に必要となる計画や管理,そして生産性やQCDを改善する手法を習得すること.
(2)広義のものづくりにおける生産管理の位置付けと,他の活動との関連について理解すること.
(3)日本の製造業が直面している課題を理解し,その課題を解決するアプローチを自ら考え説明できること.

(JABEE学習・教育目標)
「機械システム基礎工学プログラム」:(D)◎,(E)○

(JABEEキーワード)
「機械システム基礎工学プログラム」:管理(生産管理、品質管理、コスト管理)、環境保全(環境と生産)、モデルと評価(システム設計)

(前提となる基礎知識と習得後の展開)
本科目を履修する前に,「数学I」,「計画工学I」などを履修し,数学の基礎やシステムの概念を習得すると共に,新聞・雑誌などで日本の製造業を取り巻く経済・社会動向などを理解しておくことが望ましい.本科目で習得した内容は,「品質管理」,「自動車工学」など多くの専門工学科目の履修に役立つ.

<授業計画>
1. 生産管理の概要
   (日本の製造業を取り巻く環境,生産システムの概要)
2. 研究開発・製品開発
   (新製品を開発するプロセス,設計情報管理やコスト管理,技術情報マネジメント)
3. マーケティング・商品企画・需要予測
   (顧客ニーズを新製品に反映させる手法,生産管理に関連した予測手法)
4. 生産計画/管理(1)
   (生産における生産計画の位置付けと概要)
5. 生産計画/管理(2)
   (生産計画の手法と留意点)
6. 生産計画/管理(3)
   (生産計画に基づく生産制御の手法と留意点)
7. 資材購買管理
   (原材料や部品を購入して在庫管理やコスト管理をする手法と留意点)
8. 工場計画・設備計画・設備管理
   (工場建設,工場管理,設備投資,設備保全に関するコスト管理などの手法と留意点)
9. 生産準備・作業研究
   (製品設計情報を生産基準情報に変換する手法,生産管理に関連した生産性改善手法)
10. トヨタ生産方式
   (日本が世界に誇る生産管理方式の概要)
11. 物流管理・ロジスティクス
   (資材や製品を効率的に輸送・保管するシステム設計の手法と留意点)
12. 品質管理環境管理と生産
   (品質保証,資源環境管理,ライフサイクルアセスメント,安全管理)
13. 生産自動化・生産情報システム・サプライチェーンマネジメント
   (CAD/CAM/CAE,CIM/FMS/FA,システムインテグレーション(SI),技術史)

<成績評価方法及び水準>
7割以上の授業への出席回数が単位取得の前提条件.さらに,授業中の小テスト(5〜6回実施)の30点とレポート提出(2回実施)の70点との総計100点に対して,60点以上を合格とする.
「機械システム基礎工学プログラム」の学習・教育目標(D)(E)は,上記の基準を満たせば達成される.

<教科書>
プリント「生産管理」講義資料(毎回の授業で配付)

<参考書>
「現代生産管理」工藤市兵衛編著(同友館)

<オフィスアワー>
授業終了後約15分間、新宿キャンパス12階講師室で.

<学生へのメッセージ>
日本のものづくりを取り巻く環境としては,顧客ニーズの多様化,製品の価格破壊,製品ライフサイクルの短命化などがあります.最近は中国の台頭により,生産の海外移転に伴う国内空洞化が課題となっています.このように,日本の製造業は厳しい現実に直面していますが,この授業が今後も日本経済を支えてゆく日本のものづくりについて,皆さんが関心を持つきっかけになればと思います.

 

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