2008年度工学院大学 第1部機械システム工学科

工業材料(Engineering Materials)[4C15]

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2単位
鈴木 韶也 非常勤講師

最終更新日 : 2009/11/04

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 工業材料とは、「人の営みの為に必要な様々な工業製品を構成している材料」を云い、規格に基づき多くの約束の下に作られている材料の総称です。現代にあっては、機械材料と言っても過言ではないでしょう。 私達にとって、どちらかと強いて言えば、設計は仮想空間(CYBER SPACE)での作業、材料は現実空間(REAL SPACE)での作業、にその主体性があります。 しかし、相方共に研究(R)する/開発(D)する、と云う意味合いでは、作ろうとするモノが機能し、故障しない(破損、破壊しない)という観点からは、想像する(考える)、具現化する(姿、形にする)という高度の概念を持ち合わせることが必要となって来ます。この様に設計と材料とは、図面のように切り離せない相関関係(DUALITY相補性)にあります。 この授業では、工業材料としての、種類、性質、力学的特性、性能評価、生産技術(加工性、設備等)について学び、これらを通して材料の基礎を学ぶことにより、その基礎的な部分を培うことにその主眼を置いています。工業材料を勉強することは、設計を異なった視点から勉強することを意味します。逆も真なりです。人は今迄に、その営みの為に何を作って来たのか、お互いに考えながら授業を進めたいと考えています。この授業で、将来、自分が設計した製品が「故障しない、破損しない」という材料強度上の様々な事柄をきっと習得なさることでしょうし、設計とそのシステムに対する考え方、見方も変わるでしょう。

  (JABEE機械システム基礎工学プログラムの学習・教育目標);(D):◎、(C):○
  (JABEE基本キーワード);材料の力学的性質、工業材料の種類、工業材料の性質、性能評価、加工法、等。
  (JABEE個別キーワード);応力とひずみ、機能による分類、組成による分類、力学的特性、機能的特性、材料試験法、等。
  (前提となる基礎知識と修得後の展開);本科目を履修する前に、「材料の基礎」を履修しておくと良いでしょう。
履修後の展開として期待されることは、機械を「設計」する段階で、「材料」を常に考慮
しながら「設計」しなければならない、と言うことに気がつく様になるでしょう。

<授業計画>
1学園祭の日程により、下記日程は多少変更(ガイダンス時に提示)します。   (予定 年/月/日 毎木曜日)
1) 「ガイダンス」            2008/09/11 ‥‥‥‥‥
2) 「機械材料総論」(教科書:第1章)                 09/18 練習問題(1)
3) 「材料の微視構造」(教科書:第2章)                 09/25 練習問題(2)
4) 「合金とその組織」(教科書:第3章)                10/02 練習問題(3)
5) 「熱処理の基礎」(教科書:第4章)                 10/09 練習問題(4)
6) 「材料強度の基礎」(教科書:第5章)                 10/16 練習問題(5)
7) 「材料試験」(教科書:第6章)                  10/23 練習問題(6)
8) 「鉄鋼材料」(教科書:第7章)                    11/06 練習問題(7)
9) 「非鉄金属材料」(教科書:第8章)                  11/13 練習問題(8)
10) 「高分子材料」(教科書:第9章)                   11/20 練習問題(9)
11) 「セラミックス材料」(教科書:第10章)                11/27 練習問題(10)
12) 「複合材料」とその「材料設計の方法」(教科書:第11章)        12/04 練習問題(11)
13) 「機能性構造材料」と「新材料概論」(教科書:第12章)       12/11 ‥‥‥‥‥
14) 「期末試験」                       2009/01/08(予定)

 (概要)
:1)では、授業の進め方(授業推進の方法)、練習問題と期末試験での成績評価方法、等についてガイダンスします。又、材料の学び方、人は何を作ってきたのか、等についても「工業材料序論」として行います。
2)では、材料の分類、材料の製造、材料の加工法とその特性、等について触れます。
3)〜7)の5回に亘っては、主に設計した製品/部品等が設計通りに機能しているか等品質面主体の解析をする為の知識、試験方法、試験機の種類、等について学びます。
8)〜11)では、主に現代の代表的な工業材料の種類と特性、及びその特徴、等について学びます。
12)、13)では、工業材料の新材料系について理解を深め、その基礎知識の習得に努めます。
14)は、1)〜13)にて習得した事項に関する復習の意味合いで実施します。

<成績評価方法及び水準>
(1) 練習問題の得点(MIN.60点)と (2) 期末試験の得点(MAX.40点)の合計点で評価します。
評価の主体は、練習問題です。従って、期末試験を受けなくても(自由です)全11回の練習問題回答のレポート提出で
単位取得が可能(最低評価点:C)となります。試験問題は、練習問題主体で出題します。試験は、教科書、自筆作成ノート、
自筆作成レポートのコピー、電卓、の持込み可です。
レポート提出回数が11回に満たない場合の評価は、下記の方法で算出し、(1)+(2)の合計点60点以上を合格とします。
成績評価=(レポート提出回数/11回)×60点+期末試験点数(100点満点)×40/100点
     合格の為には、期末試験で満点(100点→40点)でも、レポート点数が最低20点(Min.提出回数:4回)必要となります。
     仮に、レポート提出回数が6回であれば、持点は33点(小数点以下切り上げ)となりますので、合格の為には期末試験で
最低66点(66点×0.4=26.4点→27点)取得する必要があります。同様に、7回であれば、持点は39点となり期末試験
で51点(51×0.4=20.4→21点)取得する必要があります。
「機械システム基礎工学プログラム」の学習・教育目標、D、C、は上記の基準を満たせば達成されます。

<教科書>
『機械材料工学』野口徹、中村孝共著、工学図書刊

<参考書>
岩波講座『現代工学の基礎』〈材料系I〜VIII、8分冊〉、2001年5月〜2003年12月間の第1期刊行本、岩波書店刊、全16巻、32分冊。『現代工学の基礎』は、講座としては現在絶版中ですが、その中からシリーズ『現代工学入門』として、2005年2月より順次、専門分野別に単行本化が刊行(不定期)されていますので、参考になさって下さい。

<オフィスアワー>
毎木曜日、授業終了後(14:45以降)。12F講師室、又はB-1Fカフェテリア。授業終了時に申し出下さい。

<学生へのメッセージ>
授業は上記教科書主体で行います。練習問題を確り解いて、専門書の読み方等もこの際、身に付けて置きましょう。
教科書は、学部の専門課程(3,4年)、及び大学院修士課程を対象に編纂されていますので、「ちょっと難しい」部分もあるかも知れませんが、いずれは平準化されてしまう内容です。この際、頑張って、専門書を一冊、読破してみましょう。
時代の趨勢(成り行き、傾向)は、「集中(concentration)」、「速さ(speed)」、「簡潔(simple)」です。真面目に取り組めば、結果的に「材料の基礎知識」と共に、これらの「習慣」も、今を生き抜く知恵として、自然と身に付けることが出来るでしょう。

「工業材料」には、この授業で取扱う「固体材料」の他に、「液体材料」(ガソリン等の燃料、オイル、グリース、ワックス等の油脂、潤滑油類、等)、「気体材料」(空気、各種ガス類、等)、がありますが、時間の都合で割愛せざるを得ませんでした。
又、授業の主体となる「固体材料」でも、磁性材料、電池材料、半導体材料、等も、同じ理由で取上げられませんでしたが、これらの材料は、考えようによっては、次のステップ(「工業材料II」の位置付け?) の「材料群」なのかも知れません。
しかし、この授業で「材料の基礎知識」をしっかりと身に付けておけば、きっと理解し易くなるでしょう。

 

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