2008年度工学院大学 第1部機械システム工学科

材料の基礎(Foundations of Materials Science and Engineering)[2558]

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2単位
丹羽 直毅 教授  
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最終更新日 : 2009/11/04

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
我々人類は、生命から生活まで、存在が材料によって支えられている。科学文明の発達した現在では、人類を含めた生命体やそれを支える地球の行く末にも材料(物質)が大きな影響を持っている。人類が作り出した材料が存在を危うくする一方で、高度な機能を備えた新材料の開発が新技術を生み出している。身の回りに存在する材料を改めてよく見直して、構成元素、構造、性質、材料学上の工夫を理解し、将来のエンジニアとして材料を活用するため、材料の全体像と基礎的知識を得ることを目的とする。
(JABEE 機械システム基礎工学プログラムの学習・教育目標) D-1:◎,B-1:○
(JABEE 基本キーワード)材料の力学的特性、工業材料の種類、工業材料の性質、性能評価
(JABEE 個別キーワード)応力と歪み、組成による分類、力学的特性、機能的特性、材料試験法

<授業計画>
 1:[ガイダンス]
   材料系科目「材料の基礎」「材料強度学」「工業材料」の講義内容とそれぞれが材料を知るためにカバーする分野を理解する。
 2:機械工学において「材料」を学ぶ意味を、身近な例によって理解する。
  機械と材料、設計における材料選択
 3:材料は様々な構造(顔)を持ち、構造の違いによって性質も変わる。
  自然の材料に学ぶ。環境に耐える合理的な微視的構造(マイクロストラクチャ:微視組織)から構造を制御してより優れた性質を得るまで。
 4:材料を知る、1)材料の構造(顔)を調べる方法、材料の顔を見るための方法と簡単な原理。
    肉眼−虫眼鏡−光学顕微鏡−走査型電子顕微鏡−透過型電子顕微鏡、X線回折装置
 5:材料を知る、2)性質を調べる、代表的材料試験法と力学的特性
 6:材料とその特徴。弾性、密度、電気伝導度、熱伝導度など。
 7:材料の最も基本的な構造=原子の結合、原子の構造と結合のメカニズムと性質
    1)一次結合(共有、イオン、金属)
 8:材料の最も基本的な構造=原子の結合、原子の構造と結合のメカニズムと性質
    2)二次結合(水素、ファンデルワールス)
 9:機械要素として重要な金属材料。金属結合と転位と性質
10:結晶とアモルファス:身の回りのアモルファス
11:熱力学的平衡と速度論:鋼の焼き入れ(マルテンサイトによる硬化)、時効処理
12:21世紀の地球に何ができるか。地球環境保全:資源の有効利用:生活と材料
13:技術者として生活者としてどう材料を活用するか
講義における教科書の使い方
・[教科書の内容をそのまま板書して講義とするのではなく関連する情報で補足しながら教科書の内容を理解していただくのが講義]と考えています。→従って
・例年と同様、自分で教科書を読んで理解した内容を要約して提出していただきます。
  教科書第2章,1章,3章の順に計3回、提出日は、講義の進行状況により設定します。
「まとめ」の作成
・講義時間の残り10分ほどを利用し、その日の講義の要約、質問事項を「まとめ」にして、提出していただきます。白紙の人は、その回の講義では何も得なかったことになります。
学期末最後の講義前に「講義の全内容の要約」を提出していただき、それに基づき最終回に全体を総括。

<成績評価方法及び水準>
定期試験において成績の評価を行い、60点以上の者を合格とする。

<教科書>
「トゥモローズ・マテリアル」(ケン・イースタリング著、石崎幸三訳、内田老鶴圃)
 第1章では、材料を理解するための基本的な知識。
 第2章では、数多くの材料が開発され、工夫されて使われ、私達に役に立っているか。
 第3章は、限りある資源と21世紀の地球を考える内容となっています。

<参考書>
「材料科学への招待」(入戸野修、培風館)

<オフィスアワー>
普段は新宿に居るので、質問には講義の前後もしくはメールでお答えします。
(月曜日17時〜19時新宿校舎1773室)

<学生へのメッセージ>
「まとめ」や「教科書の要約」は、講義内容を理解する助けとなる他「理解したことを要領よくまとめる」「疑問点をハッキリさせる」など社会人として必須の能力を養うことも目的です。また、「まとめ」や「教科書の要約」は、講義内容が理解されているかどうかの情報交換のツールの役目もあるので理解できなかったことに関する質問も書いて下さい。

 

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