2008年度工学院大学 第1部機械工学科 メカノデザインコース

高分子材料工学(Highpolymeric Material Engineering)[3B04]

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2単位
西谷 要介 講師  
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最終更新日 : 2009/11/04

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 高分子材料は機械,自動車,装置などの工業用途をはじめとし,容器・包装などの日常生活用途,携帯電話・OA機器などの電気電子用途,宇宙・航空分野などの先端分野など幅広く使用されており,今後も益々その展開が期待されている.しかし,高分子材料の特徴を十分理解しないまま使用し,材料の選択を誤り,機械等の性能を発揮できていないことが見受けられる.したがって,機械技術者が設計・製作時に必要な高分子材料の基礎知識を習得し,最適な材料を選択できるようになることが,とても重要である.そのために本講義では,機械技術者として必須な高分子材料について種類,性能,構造,成形加工方法,複合化,機械部品への応用および材料の選択方法などを習得することを目的とする.具体的な目標は以下の通りである.
(1) 機械材料としての高分子材料について理解を深める.
(2) 高分子材料の分類,種類,特性について理解する.
(3) 高分子材料の構造と物性について理解を深める.
(4) 高分子系複合材料について理解を深める.
(5) 高分子材料の成形加工法について理解を深める.
(6) 最適な材料を選択する方法を学習する.

(JABEE学習・教育目標)(D)-1:◎
(JABEE 基本キーワード)材料の構造と組織,材料の強度と許容応力,設計法,加工法
(JABEE 個別キーワード)工業材料の性質と機能,複合材料,トライボロジー,材料試験法,機械設計,射出成形,流動体成形,加工機械
(前提となる基礎知識と学習後の展開)本科目を履修する前に材料基礎工学を学習してください。本科目学習後は機械機能設計工学、必修科目の機械設計総合演習に役立ちます。さらに,具体的な装置や部品の設計・製作に進むことができる.

<授業計画>
1. ガイダンスおよび高分子材料の概要
 本講義のガイダンスを行い,達成目標を明確にする.
 高分子材料について,実例を中心に紹介するとともに,本講義の概要を述べる.

2. プラスチック
 プラスチックの分類,種類,特性を理解する.
 キーワード:熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂,汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチック

3. ゴムエラストマー
 ゴムの分類,種類,特性を理解する.
 キーワード:天然ゴム,合成ゴム,熱可塑性エラストマー

4. 高分子材料の構造
 高分子材料の構造とそれに起因する性質を理解する.
 キーワード:一次構造,二次構造,高次構造

5. 高分子材料の物性(1):粘弾性
 高分子材料として最も重要な物性である粘弾性について学習する.特に,粘弾性の現象論を中心に理解する.

6. 高分子材料の物性(2):機械的性質その1
 機械材料として用いられる場合に,基本となる機械的性質について理解する.
 特に機械的性質に及ぼす影響因子について学習する.

7. 高分子材料の物性(3):機械的性質その2
 機械材料として利用する場合に重要なトライボロジー特性(摩擦摩耗特性)について学習する.

8. 高分子材料の物性(4):その他の性質
 機械的性質以外の化学的性質,電気的性質,光学的性質など,各種性質を学習する.

9. 高分子系複合材料
 複合材料の特徴,性質,種類を理解する.更に複合効果を定量化するための複合則を学習する.
 製品実例を通して複合材料の性質・機能を学習し,その発現機構や設計・制御方法を理解する.

10. 成形加工(1):成形加工の概念
 高分子材料の成形加工の概念を学習する.

11. 成形加工(2):三大成形法
 三大成形法(射出成形,圧縮成形,押出成形)を学習する.特に工業的に重要な射出成形について理解を深める.

12. 成形加工(3):各種成形加工法
 三大成形法以外にも様々な成形加工法について,実製品を通して学習する.更には,新しい成形加工法についても紹介する.

13. 設計と高分子材料
 機械設計を中心に高分子材料の選択方法を学習する.

14. 定期試験

<成績評価方法及び水準>
 成績評価は定期試験70%および小レポート30%の比重で配点を行い、総合評点が60点以上のものを合格とする。

<教科書>
「JIS使い方シリーズ 新版 プラスチック材料の選択のポイント」山口章三郎編(日本規格協会)

<参考書>
必要に応じて授業中に印刷物も配布します。
特に購入の必要はないが、更に勉強したい者は下記の文献を参考にして下さい。
「流す・形にする・固める」プラスチック成形加工学会編(シグマ出版)
「先端成形加工技術」プラスチック成形加工学会編(シグマ出版)

<オフィスアワー>
水曜日:新宿校舎1666室 15:00〜16:30
上記以外でもメールで連絡の上、事前に連絡をとってもらえば対応可能です。
at13152@ns.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
 機械技術者として、材料の基礎知識を理解・習得することは必須です.高分子材料は幅広く使用されている材料の一つであるが,十分理解されないまま使用されていることが見受けられます。機械技術者を目指す皆さんが高分子材料を深く理解し,性能・機能を十分発揮することができれば,設計・製作する機械・装置類は高寿命かつ高性能なものをつくることができます.
なお,授業を受ける際には、必ず教科書を購入・持参し、予習・復習を心がけて下さい。授業は通常の講義形式の他に、毎回の授業で学んだ内容の理解度および達成度をみるものとして、小レポートを併用します。この小レポートとは、授業トピックスに関して、毎回授業の最後に書いてもらうレポートのことであり、当日の授業内でのみ提出可能なものです。ただし、一定レベルに達していない小レポートに関しては再提出してもらう場合もあるので、良いレポートを書くように心がけて下さい。なお、良いレポートとは、自分の言葉で独自の考え方が表れているものです。感想や質問、単語の羅列とは異なります。
 わからないことや質問があれば、遠慮なく声をかけてください。一緒に考えて、高分子材料に関する理解を深めていきましょう。

 

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