2006年度工学院大学 第1部建築都市デザイン学科
△権利と法(Law and Fundamental Human Rights)[1219]
2単位 井上 知樹 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 日本国憲法が規定する人権条項の学習を通じて、歴史感覚と時代感覚の練磨、個人尊重の価値観の練成、人権感覚の涵養、及び、自己の生の主体的な構想者として非社交的且つ社交的な個人の確立を目指したい。併せて、その前提として文章の読解力・表現力の鍛錬を図りたい。
- <授業計画>
- 一、ガイダンス・オリエンテーション
二、法学概論 法とは何か(個人の自由・人権を守る) 個人とは何か(個人主義という価値=原子論的個人主義) 自由・人権とは何か(自主的主体的積極的能動的な送り手・製作者たるべき権利) 自由・人権の担い手としての個人(強い自律的個人) 強さとは何か(自己の孤独と製作の懊悩に耐える精神力) 自律性とは何か(自分で〜することができる、しなければならない) 三、人類普遍の原理 憲法史(革命史);欧米史と日本史 四、自分のことは自分で決める(孤独な我) 自分の価値観は自分で決める(日本国憲法19条) 自分の信仰は自分で決める(20条) 自分の価値観は自分が語る(21条) 自分の勉強・研究は自分でする(23条) 自分の生活は自分で働いて支える(22条・29条) 五、自分たちのことは自分たちで決める(我−汝関係としての我々) 中間団体・部分社会 人為的機能的集団:結社の自由(20条・21条/22条・29条) 自然的基礎的集団:婚姻・家族(24条) 六、自分のことを他人が決めてしまう(我−彼関係としての) 現代国家・現代社会 他律的な受け手としての個人 もう一度自分のことは自分で決めるために 社会権;生存権(25条) 教育を受ける権利(26条) 労働基本権(27条・28条) 新しい人権;プライバシー権(13条) 知る権利(21条) アクセス権(21条) 環境権(25条) 七、自分のことが自分で決められない(我の空疎化) 福祉国家・豊かな社会における心の貧しさ 唯一の絶対的な神の死亡=価値相対主義 =価値選択・傾倒・充填の権利と義務 =虚無主義(やりたいことがない) =物神崇拝と自由からの逃走 八、我は自己の(人)生をどう生きるべきか 以上をキーワードとして授業を進めていく予定です。
- <成績評価方法及び水準>
- 授業への出席を単位認定のための前提とし、期末に実施される筆記試験を基準にして期中に数回課されるレポートを加味し、以上を総合的に勘案して60点以上の者に単位を認める。委細については期首の授業時に説明するので、必ず出席すること。
- <教科書>
- 特に指定することはせず、期中に数回課されるレポート時に参考文献を配布する。
- <オフィスアワー>
- 授業の開始前又は終了後に、講師控室にて。
- <学生へのメッセージ>
- 科学や情報の発達した現在においては、唯一絶対的な価値の根源としての「神」は死んでしまって、全てが相対的で各自の自由です。だからと言って、就職したら連休とって海外旅行へ…の繰返しの人生でつまらなくないですか。自分が信じ自分が追求するものは自分で探さなくてはなりません。だからと言って、バモイドオキ神やシヴァ神を信じるのが善いことなのでしょうか。しかし、自分で探し出すのが面倒だからと言って、会社のためにひたすら滅私奉公で談合や贈賄・利益供与・粉飾決算までして会社を守った挙句、遂には逮捕されるような大人になりたいですか。
「個」からものを考えるという視点に立って日本国「憲法」を理解することを通じて、「個人」の「自由」・「人権」の意義、その影・毒・鬼子の側面を認識しながらも、それでも「個人」・「自由」・「人権」にこだわるためにはどうすべきか試論を提示しつつ、諸君にも悩んでもらいたいと思います。「個人」・「人権」・「自由」について大いに悩み、友人と議論してみて下さい。決して答は出なくても、絶えず影のように我々に付き纏うストーカーのような問題です。
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