2006年度工学院大学 第1部国際基礎工学科
世界の歴史認識(Various Recognitions of History in the World)[4556]
2単位 浜川 栄 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 現代の国際社会にはさまざまな紛争や問題があるが、その多くの背景には人々の歴史認識の差異がある。本科目では、世界をいくつかの地域に分割し、各地域固有の歴史認識が形成された歴史的経過について考察する。それを通じて、前途多難な今後の人類社会にとってどのような歴史認識が必要とされているのかを、受講生諸君とともに考えていきたい。
(JABEE学習・教育目標) 「国際工学プログラム」:(E)コミュニケーション能力と国際感覚の習得:◎ (A)多面的な視点から考える能力:○ JABEE基準1の(1)の知識・能力:(a):◎(f):○ (前提となる基礎知識と習得後の展開) 本科目を履修する前に、高校で使用した「世界史」の教科書などにより、最低限の世界史の基礎知識を習得しておくことが望ましい。 本科目で習得した内容は、「国際化と異文化理解」、「国際関係と文化」、「国際企業論」などの科目の履修に役立つ。
- <授業計画>
- 第1週 [ガイダンス]歴史認識の違いが各地域の宗教の違いから生じ、さらにそれが各地域の自然環境の違いに由来することを学ぶ。同時に、人類にとって自然環境の保全がいかに緊急の要件であるかを学ぶ。
第2週 [東アジアの歴史認識1]中国の歴史認識について、その歴史書の書かれ方を通じ、中国人が事実の記録の集積に執着した背景を学ぶ。 第3週 [東アジアの歴史認識2]中国の歴史認識はその特異な自然環境に育まれた側面が強い。ここでは黄河が中国社会にどのような影響を与えてきたかを学ぶ。 第4週 [南アジア・東南アジアの歴史認識]「歴史がない」といわれる両地域の独特な歴史認識について、自然環境と宗教観に注目しつつその形成過程を学ぶ。 第5週 [中央アジア・西アジアの歴史認識]中央アジアの遊牧騎馬民族が「天」「狼」などをキーワードとする独特な歴史認識を持った歴史的経過を学ぶ。また、西アジア発祥のイスラム教が持つ強烈な「社会意識」について学ぶ。 第6週 [西ヨーロッパの歴史認識1]今日の「グローバルスタンダード」を生んだ西ヨーロッパの歴史認識について、その強固な「共同体意識」と激しい「個人意識」の相克がいかに展開したかを学ぶ。 第7週 [西ヨーロッパの歴史認識2]いまや世界認識とも言える「自由」「平等」という価値認識を生み出したヨーロッパ近代史の裏側に、根深い差別意識に支えられた「社会進化論」が存在していたことを学ぶ。 第8週 [ロシア・東ヨーロッパの歴史認識]アジアの一部とみなされてきたロシアがいかに西欧文明を受容し、ついに西欧へのコンプレックスを脱却して独自の歴史認識を持つに至ったかを学ぶ。また、近代以降そのロシア(ソ連)の圧力を受け続けた東ヨーロッパの苦悩について学ぶ。 第9週 [アメリカの歴史認識]西ヨーロッパ文明を継承し、「グローバルスタンダード」へと発展させたアメリカの持つ先進性と保守性について学ぶ。 第10週 [アフリカの歴史認識]かつて「暗黒大陸」と呼ばれ、未開の地としてヨーロッパ諸国の侵略の対象となったアフリカの苦悩と、数十万年に及ぶアフリカの伝統的歴史認識について、特にその積極的な側面について学ぶ。 第11週 [世界の歴史認識と現代の諸問題1]歴史認識の衝突がもたらす悲劇の典型的事例であるパレスチナ問題について学ぶ。 第12週 [世界の歴史認識と現代の諸問題2]今後の人類社会を脅かす最大の問題である環境問題についてとりあげ、今後の人類が共通して持つべき歴史認識のあり方について考察する。 第13週 教室において試験を実施する。
- <成績評価方法及び水準>
- 試験の結果によって評価する。世界各地の歴史認識の特徴を理解できているか、特定の問題に関して自己の意見を明確に述べているかどうかを評価基準とし、60点以上の者に単位を与える。なお、欠席が目立つ者、私語など講義を妨げる行為が目にあまる者には試験の答案内容いかんに関わらず評価を与えないので注意されたい。
「国際工学プログラム」の学習・教育目標(A) (B)および(E)は、本科目およびこの目標に対応する卒業に必要な他の該当科目をすべて習得することにより達成される。
- <教科書>
- 教科書は使用しない。
- <参考書>
- 毎回の講義で参考資料をプリントして配布する。それ以外の参考書がある場合は講義中に指示する。
- <オフィスアワー>
- 授業終了後教室で。 または 授業開始前・終了後、兼任講師室で。
- <学生へのメッセージ>
- 本科目は人名・地名・年号などを丸暗記させる「受験世界史」とは違う。諸君が今後の国際社会でどのように生きていくべきか、個々人それぞれが考えるためのヒントとして、世界各地の「文化」の違いについて学ぶものである。受講生諸君には、こと細かな世界史の知識は必要ない。しかし、さまざまな「異文化」に対して興味・関心を持つ好奇心、「異文化」から学ぶべきところを学びとる柔軟性、自分の意見を表明できる積極性が要求される。意欲ある学生の受講を望む。
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