2005年度工学院大学 第1部建築学科 建築学コース

国際問題の学際的研究(Interdisciplinary Study on Global Issues)[4505]

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2単位
小野  一 助教授  
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最終更新日 : 2005/05/25

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
国際関係論系列の発展科目として、少人数制・ゼミ形式の授業を通じてより深い学習を行うとともに、主体的なテーマ設定と文献調査により、学術論文作成のための演習を行う。

<授業計画>
 この自由研究科目は、私が担当する「国際関係の基礎知識」(前期科目)の発展科目であり、国際関係論と関連するテーマ全般を対象とする。具体的には、国際紛争と平和の問題、文化と文明、国際交流とNGO、地球環境問題、南北問題、外国人(労働者)問題などが含まれる。(詳細はシラバスの「国際関係の基礎知識」の講義内容を参照)。国際機構や外交史など国際法学系分野、多国籍企業や金融など国際経済学的分野、特定地域研究などについても、可能な範囲で対応する。また、政治学分野をはじめ、私の他の担当科目と関連するテーマに関心をもつ学生も、可能な範囲で指導を行う。
 授業の運営形態は、共通テキストの輪読、個別テーマに基づく発表、学期末論文作成を組み合わせたものとする。第1回目の授業で参加者と協議の上で共通テキストを決定し、最初の1ヶ月をめどに輪読・ディスカッションを行う。毎回数名のレポーターに報告してもらうが、参加者全員が時間中は少なくとも1回は意味のある発言をすることが求められる。司会も学生に交代でやってもらう。ただし、こうした研究会方式の授業に不慣れな学生もいることを想定し、第1回目の授業は、レジュメの書き方から始まる基本的なノウハウを指導する。
 その後は、参加者の問題関心に応じた個別テーマに基づく研究発表に移る。上記の共通テキストの輪読と並行して、学期末論文のテーマを参加者と個別に協議の上、できるだけ早く決定する。論文作成の途中経過を他の参加者の前でプレゼンテーションするわけだが、問題設定の仕方、文献調査の行い方やその引証の仕方、効果的な発表の仕方などについて指導を行う。
 この研究発表時のディスカッションも参考にしながら、最終的な論文をまとめてもらう。原稿用紙10枚以上を目安にしているが、短いながらも内容面・形式面で学術論文として体裁の整ったものを仕上げてもらう。論文指導のため、中間報告を出してもらうこともある。

<成績評価方法及び水準>
報告・発言、授業への貢献と、学期末論文を組み合わせて総合的に成績評価を行う。なお常識的なことであるが、正当な理由なく無断欠席をした場合には、単位は与えられない。それ以前に、他の参加者の迷惑となるので、このような行為は厳に慎むこと。

<教科書>
共通テキストは、第1回目の授業時に参加者と協議の上で決定する。この授業では個別テーマに基づく研究発表・論文作成が中心になるので、できるだけ早くテーマを決定し、そのためには必要な文献を各自で入手すること。その際の質問・相談は歓迎するが、文献を探すのはあくまでも学生の責任であることを忘れないように。

<参考書>
国際関係の今日的問題状況を鳥瞰するための参考として、さしあたり、横山宏章/野林健編『国際政治の21世紀像/世界を揺るがすドラマ20章』(有信堂)、小沢一彦/毛利勝彦/水上慎士/道下徳成編『ディベートで学ぶ国際関係』(玉川大学出版部)、松本仁助/香西茂/島岡宏編『共生の国際関係/国際学の試み』(世界思想社)を挙げておく。

<オフィスアワー>
八王子校舎1号館314号室:木曜日5時限目(前期)、木曜日昼休み(後期)
新宿校舎27階2744号室:水曜日17〜18時(後期は19時30分以降も可)
上記以外にも、事前に協議の上で研究室来訪の日時を予約することができる。休暇中は必ず事前に予約した上で来室すること。

<学生へのメッセージ>
 ゼミナール形式の授業では学生の主体的学習が重要であり、いわゆる「受け身的」な授業参加では受講の意味がない。ましてやこの科目のように個別テーマに基づく発表・論文作成を行う場合には、自分で自らの問題関心を明確化し、文献調査・研究のデザインを行わなければ、一向に仕事が進展しない。「自分は何をやりたいのか」をあらかじめ考えた上で受講登録すること。
 近年の国際関係は問題山積で、キナ臭ささえ感じさせる。ゼロサム思考(誰かが得すれば誰かが損する。損得勘定の総和は常にゼロなので、みんなが幸せにはなれない)が横行する今日、ともすれば悲観的になりそうな世界情勢だが、時事問題には常に敏感であり、何事にも批判的な思考態度を持つようにしたい。原点にあるのは、他者の痛みに心を寄せることのできる健全な人間感情だと思う。
 国際関係論は本来、学際的性格を強く持つ。専門分化は学問発展に伴って必然的に起こるものだが、ある段階でそれを境界横断的・総合的に再構成することが必要になる。このような発想は、専門課程での研究や将来の職業生活において必要とされる柔軟で複眼的な思考法を養うのにも、有益であろう。専門学科・コースを越えた知的交流の場を十分に活用して欲しい。

<備考>
第1回目の授業では、共通テキストの決定、課題の割当、発表順の決定など、授業運営の重要事項を打ち合わせするので、時間厳守で教室に集まること。この授業に関する質問や、個別テーマについての相談などは、学期開始前でも歓迎する。上記のオフィスアワーを利用するか、電子メール(アドレスは私の担当科目受講生には公開)により連絡をとること。
なお、受講希望者が多すぎる場合には、面談等を実施の上で選抜を行うことがある。

 

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