2005年度工学院大学 第1部建築学科 建築学コース
哲学書を読む(Reading philosophy books)[3501]
2単位 草野 章 助教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 哲学的諸問題は哲学者のみならず一般人によっても様々に提起されるものなのだが,それらを廻る思索は何ら実利的な結果を齎さないため,哲学は暇人の空想の産物であるとか机上の空論に過ぎないという,哲学に対するいわれのない批難がともすれば生じがちである。しかし実利性や効用性のみに世界や生の意味が還元される訳でもあるまい。哲学は世界及び生の全体の根拠に遡ろうとする人間精神の自由な運動形態である。従って哲学に於いて確定的なことは何ひとつ学び取れないではないかという批難は確かに正しいのであるが,それは哲学の本性に関する誤解に由来する的外れな批難なのである。哲学が如何なるものであるのかを体得する術は哲学者の書物への沈潜以外にない。それに正面から取り組むことによって哲学的思索は徐々に目ざめていくのである。哲学書は人生について説教を垂れるものでもなければ,世界に関する真理が記してあるものでもなく,況や機知を利かせた風変わりな思いつきや評論の集積などでは断じてない。それは論理性と体系性に基づく思考の鍛錬を通じて各人の哲学的思索を促す跳躍台に他ならないのである。
本授業は,過去の哲学者の書物を丹念に読むことによって,哲学的思索が如何なるものであるかを聊かなりとも受講者に体得させることを狙いとする。
- <授業計画>
- 読むテクストを最初に選定し,それを輪読していく。各回毎に担当者を決め,内容要約と問題提起をしてもらい,それをたたき台に全員で討論を行う。最低ひとり1回は担当者の義務を果たすことになると思うので,それなりの決意と関心を持った学生諸君の受講を希望する。演習形式の授業なので,受講希望者が多い場合には人数制限を行うこともあるので注意されたい。第1回目の授業では,テクストと各回毎の担当者を決定し,併せて各自が抱いている哲学的関心について述べてもらう予定である。第1回目の授業に欠席した者の受講は,原則として認めない。
- <成績評価方法及び水準>
- 平常点,レポート等で総合的に評価し、60点以上の者に単位を認定する。
- <オフィスアワー>
- 金曜日 16:00〜17:00 新宿校舎27階2773号室にて
- <学生へのメッセージ>
- 「テクストを読む」とは如何なることなのかを体得しよう。
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