2005年度工学院大学 第1部建築学科 建築学コース

日本の社会思想(Social Ideas in Japan)[1418]

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2単位
荒川 敏彦 非常勤講師

最終更新日 : 2005/05/25

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 私たちは現在、特に意識せずに「社会」という概念を用いている。しかし目に見えるひとりひとりの個人ならともかく、個人を越えて広がる「社会」を認識するとは、一体どういうことなのか。また、そのときに用いられる「社会」という言葉は、どのような来歴をもっているのか。日本社会には、「社会」という言葉をあいまいなままに放置するような要素があるのではないだろうか。企業の不祥事、政治家の汚職、官僚の無責任体質など、今なお絶えない問題群は、「社会」という言葉とどのように関わるのだろうか。
 講義では、現代では普通に「社会」という言葉で把握されている事態に関連した、(1)平安末から鎌倉期、室町期、江戸期、明治以降の思想史を概観し、(2)それらを踏まえながら、社会を自らの観点で現代的に構想するとともに、(3)その思考内容を言語化し、論理的に文章化する力を養う。

<授業計画>
 近代社会(現代社会)を考えるとき、私たちは、すでに近代的な思考様式に基づいてしまっていることが多い。しかしそれでは、近代を根底から考察することは難しいだろう。ある対象を把握するには、いったんその外部へと出てみることが有効である。それにより、自らの思索に潜む歴史的思索を認識することができる。
 講義では、過去の思想家が社会をどのように認識していったのか、毎週一人の思想家にスポットを当てて検討し、私たちが近代・現代社会を認識するための基礎づくりをする。名前を知っているだけの思想家たちに具体的に触れてみることで、自らの思考をリフレッシュさせ、あらたな認識の地平に立たせてくれるであろう。

第1回 社会認識と社会思想
第2回〜第3回 鴨長明『方丈記』と社会思想
第4回〜第5回 慈円『愚管抄』と社会思想
第6回〜第7回 吉田兼好『徒然草』と社会思想
第8回〜第9回 石田梅巌・二宮尊徳と社会思想
第10回〜第11回 田中正造と社会思想
第12回〜第13回 水俣病問題と社会思想

<成績評価方法及び水準>
 (1)授業にきちんと出席した者に対し、学期末に筆記試験を行う。
 (2)適宜、授業中に小レポートを書いてもらう。
 (1)(2)を総合して、60点以上の者に単位を認める。

<教科書>
用いない。プリントを配布する。

<参考書>
適宜、講義中に指示する。さしあたり、講義予定の著作を岩波文庫や『日本の名著』シリーズ(中央公論社)等で探し出し、実際に読んでみることをお勧めする。(多くは岩波文庫で読める)

<オフィスアワー>
授業終了後に教室で。

<学生へのメッセージ>
 講義では、近代を扱った回において、映像を見ながら考えていきます。
 時代を経て生き残った大思想家の思索について、そのエッセンスを抽出していくことになります。講義であつかった著作のどれか1冊を実際に手にとり、自力でひもといてみることをお勧めします。

 

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