2005年度工学院大学 第1部建築学科 建築学コース

世界の社会思想(Social Ideas in the Western World)[1417]

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2単位
荒川 敏彦 非常勤講師

最終更新日 : 2005/05/25

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
 現代社会(近代社会)を、どのように認識するか。社会を認識するには、社会への関心と、認識するための道具が必要である。講義では、学生のみなさんが社会への「関心」と分析の「道具」を自らのものとすることを、第一の目的とする。
 今年度のテーマは、私たちはこの「資本主義社会」の中で「いかに生きるか」である。一見すると人間性や倫理とは無関係な〈経済〉と、さまざまな問題に悩んだり苦しんだりする人間の〈生き方〉とが、どのように関連するのか、ヨーロッパと中国を比較しながら検討していく。最終的には、学生のみなさんが、異なる文化(ヨーロッパや中国)を比較することで、現代「日本」社会に対する、独善的ではない認識を得られるようにしたい。

<授業計画>
 〈資本主義〉と〈生き方〉を関連づけた代表的思想家に、ドイツの思想家マックス・ヴェーバーがいる。講義では、まず(1)社会思想一般の基礎的な考え方を学んだうえで、(2)ヴェーバーの「ヨーロッパ分析」と「中国分析」の比較を検討しながら、(3)現代社会における資本主義と生き方の関係を考えていくことにする。
 ヴェーバーのひとつの特長は、一般には経済とは無関係だ考えられる宗教が、経済にどのような影響を与えたのかという視点にある。具体的には『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』と『儒教と道教』を参照しながら、同時に「官僚制」「合理化」などのヴェーバーに発する重要な道具も学びつつ、講義を進めていくことにしたい。

第1回〜第3回 社会認識と社会思想
第4回〜第7回 ヨーロッパ文化(キリスト教)と資本主義
第8回〜第11回 中国文化(儒教・道教)と資本主義
第12回 文化比較(儒教とピューリタニズム)
第13回 まとめ

<成績評価方法及び水準>
 (1)授業にきちんと出席した者に対し、学期末に筆記試験を行う。
 (2)適宜、授業中に小レポートを書いてもらう。
 (1)(2)を総合して、60点以上の者に単位を認める。
 成績評価方法および水準の詳細については第一回目の授業時に説明するので、必ず出席すること。

<教科書>
用いない。プリントを配布する。

<参考書>
適宜、講義中に指示する。
なお、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(岩波文庫)は、文庫版で安価であり、よく知られた著作でもあるので、所持しておいて損はない。
マックス・ヴェーバーに関する手頃な概説書としては、安藤英治『マックス・ヴェーバー』(講談社学術文庫)がある。

<オフィスアワー>
授業終了後に教室で。

<学生へのメッセージ>
 講義では、ヨーロッパと中国について、歴史的観点を踏まえながら比較検討していきます。大学生でいるうちに〈社会を認識する〉という重要な課題に一度は取り組んでおきたい、という方を歓迎します。また、ときどき映像を用いて、ヨーロッパと中国の文化事情について理解を深めてもらいます。

 

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