2005年度工学院大学 第1部建築学科 建築学コース

先進工業地域論(Studies on Developed Economies)[1223]

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2単位
小野  一 助教授  
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最終更新日 : 2005/05/25

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
地域的統合のひとつである欧州連合(EU)について、その可能性と問題点を検討する。本講義での達成目標は以下のとおり。
(1) EUについて、政治・経済・社会的観点からの概略的理解を得る。
(2) 習得した知見や概念を、個別の事例分析や時事問題の体系的把握のために援用する。 
(3) ヨーロッパと非ヨーロッパの関係についての考察を通じ、先進工業地域の特性をグローバルな視野からとらえ返す。
(4) 社会科学の学修の基本である、分析力、思考力、表現力を養う。

<授業計画>
1.イントロダクション:先進工業地域とは?
【第1部】戦後における欧州統合の歩み
2.欧州石炭鉄鋼共同体、欧州経済共同体(EEC)、欧州共同体(EC)
3.欧州連合(EU)への発展と政治的統合−−平坦でなかったマーストリヒトへの道
4.欧州通貨統合の賭け−−補論:ユーロ加盟を選んだ国の論理、選ばなかった国の論理
5.拡大するEU
【第2部】統一欧州の制度機構、政策、文化的アイデンティティ
6.EUの政治機構−−国内政治機構の三権分立制との比較において
7.欧州議会、欧州市民権、欧州社会政策−−相対化する国民国家
8.欧州統合は環境保護にプラスかマイナスか?−−電力市場自由化の中でのエネルギー政策、特にドイツの脱原発政策を中心に
9.統一欧州の政策2例−−共通農業政策と言語政策
【第3部】「外国人」たちのヨーロッパ
10.非ヨーロッパ人への不寛容の強まり?−−移民排斥、シュゲン協定、「9月11日」以後
11.移民、外国人労働者、政治的亡命者−−ドイツにおける経験から
12.台頭する極右勢力とヨーロッパの経済社会構造−−日本における「内なる国際化」の問題にもふれつつ
【期末試験】

<成績評価方法及び水準>
授業時間中に小レポートを適宜実施する。最終的な成績は学期末の教場試験を主たる評価基準とし、平常点を含む総合評価において60点以上を獲得した場合に合格とする。詳細は初回講義時に説明する。

<教科書>
なし

<参考書>
大西健夫/岸上慎太郎編『EU統合の系譜』(早稲田大学出版部)、梶田孝道『新しい民族問題』(中公新書)。その他は講義中に指示する。

<オフィスアワー>
八王子校舎1号館314号室:木曜日5時限目(前期)、木曜日昼休み(後期)
新宿校舎27階2744号室:水曜日17〜18時(後期は19時30分以降も可)
上記以外にも、事前に協議の上で研究室来訪の日時を予約することができる。休暇中は必ず事前に予約した上で来室すること。

<学生へのメッセージ>
欧州統一通貨(ユーロ)の流通開始により注目を集めるヨーロッパ。2004年には東欧などからの新加盟国を迎え、拡大EUがスタートした。華々しい側面が前面に出されがちだが、多くの問題を抱えているのも事実である。社会的弱者やグローバル化の負の側面に目をつむった、経済一辺倒の欧州統合? 多くの非ヨーロッパ人居住者の存在を無視した、「ヨーロッパ人」だけのためのヨーロッパ? 統一欧州という壮大な実験を振り返り、その進むべき道を問い直すことが求められる。それは日本社会に生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれるはずである。

 

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