2003年度工学院大学 第1部電子工学科
○物理学II(Physics II)[2221]
2単位 中澤 宣也 教授
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 物理学Iで学んだ力学の知識を基礎にして,古典物理学のもう一つの柱である電磁気学と,多粒子系を扱う熱力学の基礎について学ぶ。ベクトル場という概念と,統計という処理法が新しくでてくる。何れも重要なものなので、よく理解すること。現代物理学のトピックスも,適宜話をする。
以下の項目の習得を目標とする。 (1)熱力学に現れる物理量(絶対温度、物質量、比熱、内部エネルギー、エントロピー等)の意味を理解すること。 (2)理想気体の状態方程式を利用して、気体の状態変化が扱えること。 (3)熱力学の第1、第2法則の意味を理解し、具体的な系に適用できること。 (4)電磁気学に現れる物理量(電荷,電流,電場,電位,場のエネルギー,等)意味と相互の関係を理解すること。 (5)マクスウェルの方程式を構成する4つの法則の意味を積分系で理解し,簡単な系に対してそれを適用して分析する方法を理解すること。 (6)電磁波の概念とその諸性質を理解すること。 (7)20世紀になって得られた新しい概念(4次元時空,量子など)について,概説的に理解すること。
- <授業計画>
- 9月 16日: 多粒子系の特質、熱力学の対象、熱力学の第0法則、温度とは。温度の上限、下限は
9月 30日: 気体分子運動論、内部エネルギー、熱力学の第1法則 10月 7日: 断熱過程(山に登るとなぜ気温が下がるか)、不可逆過程(覆水盆に返らず) 10月14日: 熱力学の第2法則、熱機関の効率 (海水から熱を吸収しそれを全て推力の仕事に利用できるか) 10月21日: カルノーサイクル、エントロピー、気体の自由膨張、ボルツマンの式 10月28日: 電場、磁場、電気力線、磁力線、ガウスの法則 (紐には端があるときと、輪になるときがある) 11月 4日: クーロンの法則、コンデンサ、電場のエネルギー(空間2次元世界のクーロンの法則は) 11月11日: 磁気単極子、電流による磁場、電磁誘導、エネルギー保存則との関係 11月18日: 電束電流、アンペール・マクスウエルの式(磁場の渦ができる原因) 11月25日: ビオサバールの法則の導出とその応用(曲線状の電流がつくる磁場は) 12月 2日: ソレノイドコイル、磁場のエネルギー 12月 9日: マクスウエル方程式、電磁波、波動 12月16日: 相対論入門、電場と磁場の相対性(電荷と一緒に走って世界をみると) 1月*日 : 定期試験
- <成績評価方法及び水準>
- 1)時間がある範囲で、授業の最後にその日の内容を題材に簡単な演習を実施する。(解答を提出)
2)適宜、演習問題を出し、宿題として解答レポートの提出を求める。 3)前ニ者の解答について計20点満点で評価し、A点とする。 4)定期試験は、100点満点で評価し、F点とする。 5)最終評価点Xは、X=F+R*A 修正係数Rは、Fが40点以下でR=1、それ以上では漸減し、F=100ではR=0である。 Gが60点以上を合格とする。
- <教科書>
- 「理工系物理学講義」加藤潔著(培風館)
- <参考書>
- 適宜プリントを配る。
- <オフィスアワー>
- 火曜日3時限(八王子校舎) 1号館206室
不在の時は,電子メールで連絡のこと。 (nakazawa@cc.kogakuin.ac.jp)
- <学生へのメッセージ>
- 1. 物理学IIにおいては、これまであまり馴染みのない物理量が出てくる。数学表現に惑わされずそれらの本質のイメージを描いて、直感的な理解に努力することが望まれる。
2. 継続的な学習が重要なので出席を重視する。 3. 自分で問題を解くことは,理解を深める上で極めて重要である。選択科目の物理学演習IIを併せ、履修することを強く勧める。 4. 高等学校での物理学の学習が十分でなかった者は,ギャップを埋める人一倍の努力をすること。
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