2003年度工学院大学 第1部電子工学科

政治過程論(Political Process)[1412]

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2単位
明田川 融 非常勤講師

最終更新日 : 2003/05/10

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
世間的には、“じゃじゃ馬”外相と選良(エリート)による外交独占という組織論理で行動する外務官僚との対立に還元された感のある田中真紀子前外相の更迭劇でした。しかし、そこには、隠然たる影響力をもつ政治家・官僚グループが脱却できないでいる「日米同盟枢軸論」と、最初の訪問地として北京へ飛び、米国のミサイル防衛構想批判という田中前外相の言動が象徴していた「より自主的で多角的なアジアとの共生と協調安全保障」という、現代日本外交をめぐる論理的対立がはらまれていたとする鋭い指摘もあります(進藤榮一「外相更迭劇 不毛な政争の具にするな」『朝日新聞』2002年2月9日)。今回の例をはじめとして、日々生起する外交問題あるいはそうした問題をめぐる対立を論理的・構造的にに把握するために、日本外交の歴史的理解は不可欠です。本講義は、以下に挙げる戦後日本外交史上重要と思われることがらにかかわった人々(政治家、官僚といった「官」の側だけでなく、いわゆる知識・文化人や名もない普通の人々という「民」の側も)の「選択」の過程を跡づけていく予定です。そして、外交史的事実の概説ばかりでなく、その流れのなかに存在していたか存在していたはずの選択肢についても触れ、可能性のアートとしての外交とはどういうことなのかということも考察してみたいと思います。

<授業計画>
1.第2次大戦の終結をめぐる外交
2.対日占領と「占領外交」
3.冷戦の亢進とサンフランシスコ講和
4.日ソ国交回復と「自主外交」の模索
5.60年安保改定
6.高度経済成長期の外交
7.ベトナム戦争と沖縄返還
8.日中国交正常化
9.「新冷戦」期の外交
10.冷戦終焉と日本外交
11. 湾岸戦争と日米関係
12.「同盟」の半世紀
13.日本外交のなかの沖縄

<成績評価方法及び水準>
期末試験を実施する。授業への取り組み状況、レポート等の課題提出状況を含めて総合的に評価し、60点以上を得た者に単位を認める。詳しい成績評価方法及び水準については第一回目の授業で説明するので必ず出席すること。

<教科書>
豊下檜彦 編『安保条約の論理 その生成と展開』(柏書房)

<参考書>
五百旗頭 真(いおきべ まこと)ほか『戦後日本外交史』(有斐閣)

<オフィスアワー>
月曜日 12:50〜13:10および14:40〜14:50ならびに16:20〜16:25

<学生へのメッセージ>
つねに「なぜ〜?」という原初的な問題意識をもって講義を聴いて欲しい。
講義中の私語、携帯電話・メール送受信お断り!
注:板書多し!

 

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