2003年度工学院大学 第1部電気工学科

物理学I(Physics I)[2502]

[試験情報を見る]

2単位
渡部 隆史 助教授

最終更新日 : 2003/05/10

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
自然界は複雑,難解であるが,実際には単純解の重ね合わせが多い。そういった意味では,そこには万能な公式などは存在しない。本講義では、Newtonの運動法則,エネルギー・運動量の保存など基本的な法則性を紹介し,質点,質点系,剛体の運動記述について解説していく。
このクラスは再履修クラスであるので,演習問題の解説などを通して理解の不十分であったところを補強するように配慮した進行となる。講義の開始時および最後に毎回小テストを実施する。
 以下に具体的な到達目標を示す。

  1. 「1現象→1公式」の受験物理ではなく,基本法則に従った物理学の習得。
  2. 基本本法則の複合系への応用の習得。
  3. ポテンシャルの理解。

<授業計画>

  1. 数学的準備:数学的準備として,ベクトル演算など講義に必要な知識を復習/解説する。
  2. 物理学の中の微積分:座標,速度,加速度を基に,数学で学んだ微積分の知識を物理学的にとらえる。
  3. ニュートン力学の概要:質点の力学を通してニュートン力学の基本法則を解説していく。
  4. 運動方程式を使った運動の記述:ニュートン力学の基本法則を基に,質点に限ってではあるが一般的な自然現象の定式化を計る。
  5. 仕事とエネルギー:工科系科目の基本概念である仕事とエネルギーの概念を解説する。
  6. 保存量の理解:エネルギーの保存に始まり,運動量の保存など自然界を支配する「保存」の考え方を解説する。
  7. 相互作用としての重力:重力を万有引力の一面としてとらえ,自然界の力を相互作用として考察する。
  8. 万有引力の応用:万有引力の例として,天体運動について考察していく。
  9. 多体系と連続体の力学:質点の力学を多体系に拡張し,さらに連続体の力学を学ぶ。
  10. 剛体の運動と力のつりあい:広がりのある物体の運動を運動方程式に加えて,力のモーメントを含めて考察する。
  11. 弾性体の物理と振動:弾性体を基に物件の振動について考察する。
  12. 解析力学入門:ラグランジアン,ハミルトニアンなど量子力学につながる概念の概略を解説する。
  13. 力学総論:本講義で学んできた基本概念を確認し,物理学に限らず,今後学んでいく講義科目に,いかに生かしていくかを考える。

<成績評価方法及び水準>
期末試験と毎回の小テストにより評価し,60点以上の者に単位を認める。

<教科書>
新たな指定はしないので、以前に履修したクラスで使用したテキストを持参すること。

<参考書>

  • 「物理数学(I)−裳華房フィジックスライブラリー−」中山恒義著(裳華房)
    高校で学んだ物理学と大学で学ぶ物理学の一番の違いは数学的取り扱い方法にあると考える。微積分、ベクトル演算、行列など、英語における単語にも等しい重要度を持つこれらの手段を確かなものにすることは、物理学に限らず、今後の大学生活の中においても有用であろう。この本には、基本的内容がおおよそ書かれている。初めはなかなか判り辛いかもしれないが、何度か読み直していくうちに次第に理解が進んでくるだろう。なお、「物理数学(II)」には、今後使うであろう内容が書かれているので、併せて持つことを勧める。また、他の「裳華房フィジックスライブラリー」シリーズの書籍もここで推薦しておく。
  • 「物理学演習テキスト」 (学術図書出版)
    このテキストは、物理学演習I,IIのためのものである。週1回の物理学の講義だけではどうしても「自分で問題を解決する」ことが足りなくなってしまう。テキストの問題を解くことで、それを補って欲しい。

<オフィスアワー>
水曜日 11:10〜12:30 (八王子校舎1号館209室)

<学生へのメッセージ>
質問は歓迎する。ただし,必ず居室にいるとは限らないので,E-mailを利用するか事前にアポイントメントを取るように(ft11196@ns.kogakuin.ac.jp)。

<参考ホームページアドレス>
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft11196/

 

このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2003 Kogakuin University. All Rights Reserved.