2003年度工学院大学 第1部環境化学工学科

認知と心理(Cognition and Psychology)[4448]

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2単位
矢島 正晴 非常勤講師

最終更新日 : 2003/05/10

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
認知(cognition)とは,「知ること」を意味する。これは心理学においては,知覚・記憶・思考・言語など,本来は主観的,内的な過程を総合的に考える際に使われてきた用語である。この授業では、テーマを人間の記憶と思考に対する情報処理的アプローチに限定して、その基礎的な概念について実証的な研究をふまえて学習して行く。こうした学習を通じて、人間の知的活動についての心理学的な考え方に触れ、日常生活で直面するさまざまな問題を解決する際の一助とすることを目標とする。

<授業計画>
第1週〔オリエンテーション〕授業の進め方、成績評価について概要を述べる。心理学的統計法の導入を行う。
第2週〔心理学的統計法〕授業内容の理解やデモ実験のデータ分析に必須の統計法を学習する。
第3週〔感覚記憶〕感覚記憶における情報処理の特徴を考察する。
第4週〔デモ実験1〕いくつかの要因を配した「自由再生法」の実験を行う。
第5週〔短期記憶〕短期記憶における情報処理の特徴を考察する。
第6週〔長期記憶〕長期記憶における情報処理の特徴を意味記憶を中心に考察する。
第7週〔再認記憶〕「想い出す」という記憶の働きのひとつに関して、理論的なモデルを検討する。
第8週〔意思決定〕再認記憶を、より一般的な意思決定モデルの中で再検討する。
第9週〔デモ実験2〕意思決定モデルにもとづく測定を試みる。題材としては感覚判断を取り上げる予定である。
第10週〔思考と推論〕思考のさまざまなタイプを概観し、思考の方略や表象機能などについて考察する。
第11週〔確率判断〕日常生活での直観的確率判断をとりあげて、それらの特性を明らかにする。
第12週〔デモ実験3〕確率判断に関する問題解決を実施し、直観的判断と数学的推論の差異について検討する。
第13週〔デモ実験3(つづき)〕〕
第14週〔定期試験〕

<成績評価方法及び水準>
原則として定期試験の結果にもとづいて、単位の認定を行うが、試験答案の採点に際しては、合格水準(60点)に満たないものについて、授業期間中に行う「デモンストレーション実験」についてのレポートが提出されていれば、20点を限度として評価し、試験の得点に加算して60点を与える。

<教科書>
(使用しない)

<参考書>
「人間の記憶」ロフタス&ロフタス、大村(訳)(東京大学出版会)

<オフィスアワー>

木曜日4時限終了後、八王子キャンパス1F講師室にて30分間対応可能です。

<学生へのメッセージ>
この授業では、特に「デモ実験」において、実験の準備、実行、レポート作成などといった受講生の自発的な参加を期待している。「成績評価」の項で触れたように、これらは決してノルマではないが、講義内容と密接に関連しているので、ぜひ積極的に取り組んでもらいたい。

 

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