2003年度工学院大学 第1部応用化学科
△開発途上地域論(Studies on Developing Economies)[4167]
2単位 高木 功 非常勤講師
- <授業のねらい及び具体的な達成目標>
- 私たちの生きるこの世界は苛酷なものです。およそ人類60億の大半はいわゆる「開発(発展)途上地域」に生を受け、亡くなってゆきます。生の物的基礎を保障され、人間として自由と尊厳を確保できる人はむしろ少ないのです。「貧困」の解消は人類的課題であり、また「先進諸国」といわれる地域に住む人々の将来も開発途上諸国問題の解決いかんにかかっています。「グローバリゼーション」の進展下における「富裕」と「貧困」の双極分解の構造を明らかにしたとき、「開発途上地域」の諸問題は、実は私たちの課題であることがわかるはずです。
- <授業計画>
- 第1回:前期スケジュール案の発表、講義の形式、評価ルールの明確化、参考文献一覧の配布、次回の予告
第2回:世界の現状:不均等な世界=富裕と貧困(所得、資産、教育機会etc.) 第3回:「発展/開発(=Development)」とは?:「近代化」「進歩」「成長」「経済開発」「社会開発」「人間開発」 第4回:発展/開発の経済学1「なぜ『低開発』『貧困』から脱け出 せないのか?」:貧困の悪循環、マルサスの罠 第5回:発展/開発の経済学2「どうすれば『発展』できるのか?」: 「ルイスの二重経済発展論」「ラニス=フェイの二重経済発展論」 第6回:発展/開発の経済学3「『開発』の再考と挫折」:インフォーマル経済の拡大、過剰都市化、「低開発の開発」? 第7回:「貧困」「発展」の再考:改良主義的アプローチ=BHN アプローチ 第8回:開発経済学とA.Sen(1)エンタイトルメント・アプロー チと飢饉 第9回:開発経済学とA.Sen(2)ケイパビリティ・アプローチ と発展/開発 第10回: UNDPによる人間開発アプローチ=「人間開発指標(HDI)」 「人間貧困指標(HPI)」 第11回: グローバリゼーションとは何か 第12回:グローバリズムと開発途上地域:通貨危機の経験 第13回:持続可能性と開発 第14回: もう一つのグローバル化=草の根の開発運動と地球市民 ネットワーク:NGOsの活動とグローバル・ネットワーク
- <成績評価方法及び水準>
- 原則として3分の2以上出席し、定期試験の成績が60点以上を合格とします。出席が3分の2に満たない場合には定期試験の成績によって合格とする
- <教科書>
- 特に指定しないが、参考資料を配布する。
- <参考書>
- 国連開発計画(UNDP) 『人間開発報告2000―人権と人間開発』国際協力出版会
世界銀行編『世界開発報告書2000/2001―貧困との闘い』東洋経済新報社 アマルティア・セン著『貧困の克服』集英社新書、2002年 ― 『自由と経済開発』日本経済新聞社、2000年 D.コーテン著『グローバル経済という怪物―人間不在の世界から市民社会の復権へ』シュプリンガー東京、1997年 伊豫谷登士翁著『グローバリゼーションとは何か』平凡社新書、2002年 ― 編『経済のグローバリゼーションとジェンダー』明石書店、2001年 恩田守雄著『開発社会学―理論と実践』ミネルヴァ書房、2001年 西川 潤著『人間のための経済学―開発と貧困を考える』岩波書店2000年 速水佑次郎著『開発経済学―諸国民の貧困と富』創文社 1995年 高野 猛著『最新・世界地図の読み方』講談社現代新書 1464、1999年 谷 勝秀著『アジアの児童労働と貧困』ミネルヴァ書房 2000年 原洋之介著『アジア型経済システム』中公新書 1555. 2000年 ―― 『現代アジア経済論』岩波書店2001年 ―― 『開発経済論』岩波書店2001年 豊田 隆著『アグリビジネスの国際開発―農産物貿易と多国籍企業』農文協 2001年 M.B.ブラウン著(青山・市橋訳)『フェア・トレード:公正なる貿易を求めて』新評論 1998年 加藤尚武著『環境倫理学のすすめ』丸善ライブラリー032 村上泰亮著『反古典の政治経済学―進歩史観の黄昏(上)』中央公論社 1992年 ―― 『反古典の政治経済学―二十一世紀への序説(下)』中央公論社 1992年 ―― 『反古典の政治経済学要綱―来世紀のための覚書』中央公論社 1994年
- <オフィスアワー>
- 木曜日の講義終了後。あるいはEメールで対応します。
Eメールはtalltree@green.interq.or.jp
- <学生へのメッセージ>
- 途上国の課題は実は私達の課題です。地球上における現象はすべて私自身に関係しないものはなく、また私たち自身が原因となっています。一緒に途上国問題を考えてましょう。
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