2003年度工学院大学 第1部機械工学科

材料基礎工学(Introduction to Materials Science)[5503]

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2単位
佐藤 貞雄 助教授
大野  隆 講師

最終更新日 : 2003/05/10

<授業のねらい及び具体的な達成目標>
構造物は多種多様の材料を加工した部品によって構成され、それらの設計においては最適材料の選択能力及び新規素材の開発能力が要求される.本教科は材料に関する導入編として金属材料、高分子材料(プラスチック)及びセラミックスなどを中心に各材料の構造及び組織、性能と特性及び機能などの材料工学の基礎を習得する.具体的な達成目標は:
1)材料を構成する構造と組織について理解する.
2)材料の性質と機能に及ぼす構造や組織との関わりを習得する.
3)異種材との複合による複合材料の機能性発現について理解する.
4)材料の性質を理解し、選択能力を身につける.

<授業計画>
1)構造物を構成する材料と機械工学との関わりについて述べ、「ものづくり」に必要な材料選択の基本について 学ぶ.
2)プラスチック(高分子)材料はどのようなプロセスを経て石油から作られるかを解説し、簡単な合成、重合に ついて学ぶ.
3)化学的に合成されたプラスチックは構成元素の一つが他のものと置き換わか、またはその結合位置が変わると 性質、機能が異なる.これらについて具体例を挙げ分子構造と性質の関係について学習する.
4)プラスチックは加熱すると溶融するものとしないもの、透明なものと非透明なもの、また金属材料には無いガ ラス転移点と言われる特異点がある.何ゆえこのような現象が起こるかを解説しプラスチックの本質を学ぶ.
5)2種類以上のプラスチックをブレンド、ポリマーアロイ化または無機、有機質充填材との複合化によって単一 プラスチックには無い機能性プラスチックを創製する複合材料について学習する.
6)原子の構造、原子間結合の種類とその性質.
7)固体の結晶構造と特性、結晶中に存在する各種の欠陥とその役割.
8)ギブスの相律、合金の平衡状態図の基礎.
9)金属の相変態、鉄-炭素合金の組織と特性の変化.
10)非平衡状態とは、非晶質状態や液体状態の物質の構造.
11)金属の塑性変形と格子欠陥.
12)金属-合金の機械的性質とこれらを強化するための種々の方法.
13)セラミックスとは何か、どのような物からできているか、その特性は.
14)定期試験

<成績評価方法及び水準>
期末試験60点以上を合格とし、授業の進捗状況を見て2〜3回程度のリポート(20%)との総合点により評価する.

<教科書>
特に指定しない.必要に応じて資料を配布する.

<参考書>
特に指定しない.

<オフィスアワー>
佐藤:来室(12-103号室)は都合の良い時いつでも可、ただし、次により在室日時を確認して欲しい.
   内線3518、TEL(直通)0426-28-4459、e-mail:at76030@ns.kogakuin.ac.jp
大野:18:00〜19:00 八王子校舎、8‐301号室
   内線3500、TEL(直通)0426-28-4179、e-mail:at72047@ns.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
「ものづくり」において最適な材料選択能力、開発能力は設計・製図と合わせて極めて重要なものである.例えば、ロケットの素材に鉛を用いたのではロケットは飛ばない.チタン、アルミニーム等との軽合金、セラミック、炭素系複合材などを適材適所に組合わせる事によって目的が達成される.特に材料工学は地味な学問であるため、場合によっては軽視されがちであるが、実は無くてはならないものである事を認識して受講して欲しい.

 

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